4年前、保有していた銘柄の減配を知って、その日のうちに売却しました。 今その銘柄は、株価も配当金も当時の2倍近くになっています。 売った資金で買い替えた銘柄は、株価も配当もほとんど変わっていません。
損はしていません。それでも、この取引を今も後悔しています。 理由は「売ったこと」ではなく、売る条件を決めないまま売ったことにあります。
- 減配の知らせを受けた日に、実際にとった行動
- 4年後の答え合わせ(売った銘柄と、買い替えた銘柄のその後)
- 売却の判断を誤らせた「本当の動機」
- 今の自分が決めている、買うときと売るときの条件
※銘柄名は伏せます。この記事の目的は特定の銘柄を評価することではなく、判断の手順を共有することだからです。当時の取引記録から、値動きは倍率で記載します。
利回り4%超。それだけを見て買った
買った理由は1つでした。配当利回りが4%を超えていたことです。
そのときの私は、スクリーニングで利回りの高い順に並べ、上から気になった銘柄を買っていました。 配当性向も、自己資本比率も、過去の減配履歴も見ていません。何の会社なのかも、正直よく分かっていませんでした。
「利回り4%なら、100万円で年4万円」。その計算だけが頭にありました。 今なら分かりますが、これは見る順番が逆です。利回りは最後に見る数字であって、最初に見る数字ではありません。
4か月後、減配のお知らせが届いた
買ってから4か月ほど経った頃、減配の情報が入りました。
最初に感じたのは、損失への恐怖ではありません。裏切られたような気持ちでした。 4%の利回りを期待して買ったのに、その前提が崩れる。そう受け取りました。
今振り返れば、この受け止め方自体に問題がありました。 減配は「裏切り」ではなく、会社が置かれた状況の結果です。 なぜ減配するのか——一時的な業績の落ち込みなのか、事業そのものが傾いているのか。 確認すべきはそこでした。私はそれを調べていません。
その日にやったこと
実際の行動を、順番どおりに書きます。
- 減配の情報を確認した
- 「利回りが下がるなら持っている意味がない」と考えた
- 同じくらいの価格で買える、別の高配当銘柄を探した
- 乗り換え先を決めた
- 保有していた銘柄を売却し、その資金で乗り換え先を買った
所要時間は数時間です。減配の理由を調べる工程は、この5ステップのどこにもありません。
⚠️ 3番目のステップが判断を歪めた
今読み返すと、私は「売るかどうか」を判断していません。売ることを決めた後で、売る理由を補強する材料として乗り換え先を探しています。順番が逆でした。
4年後の答え合わせ
あれから4年が経ちました。2つの銘柄がどうなったかを並べます。
| 売った銘柄 | 買い替えた銘柄 | |
|---|---|---|
| 株価 | 当時の2倍近く | ほぼ変わらず |
| 1株配当 | 当時の2倍近く | ほぼ変わらず |
| 減配の有無 | あの1回のみ。その後は回復 | なし |
売った銘柄の減配は、一時的なものでした。翌期以降に業績が戻り、配当も株価も伸びています。 持ち続けていれば、配当を受け取りながら資産も増えていました。
買い替えた銘柄は、減配していません。その点では失敗ではありません。 ただ、4年間ほとんど動かなかった。減らなかっただけです。
間違いは「売ったこと」ではない
誤解のないように書きます。減配を理由に売ること自体は、間違いではありません。 高配当株を持つ目的は配当を受け取ることなので、その前提が崩れたなら売却は正当な判断です。 売り時の記事でも、減配を最も明確な売却サインとして挙げています。
私の間違いは別のところにありました。3つあります。
1. 減配の理由を調べなかった
一時的な減配と、構造的な減配はまったく違います。 コスト増や一時的な損失計上による減配なら、翌期に戻ることがあります。 事業の衰退や競合激化が原因なら、その後も配当は減り続けます。
私が売った銘柄は前者でした。決算資料を10分読めば分かったはずのことを、確認しないまま売りました。
2. 売る条件を、買う前に決めていなかった
条件を決めていないと、判断はその日の気分に左右されます。 恐怖を感じた日に売り、期待を感じた日に買う。これでは値動きに振り回されるだけです。
3. 本当の動機は「乗り換え先が魅力的に見えた」ことだった
これが一番大きい間違いです。私は減配を理由に売ったつもりでいましたが、 実際には他に買いたいものができたから売ったのです。
持っている銘柄には減配という悪い材料が見えていて、まだ持っていない銘柄には悪い材料が見えません。 比べれば、必ず持っていないほうが良く見えます。調べていないから良く見えるだけなのに、それを「乗り換えの好機」と受け取りました。
今の私が決めている「売る条件」
この経験から、売却の条件を先に決めました。今は次の3つに当てはまらない限り、売りません。
- 減配が2期続いた、または無配になった——1回の減配では売らない。理由を確認して1期は様子を見る
- 売上・利益が3年以上、右肩下がりで続いている——一時的か構造的かは、単年ではなく推移で判断する
- 1銘柄がポートフォリオの25%を超えた——値上がりによる集中は、配当とは別のリスク
大事なのは条件の中身より、条件を先に決めてあることです。 決めてあれば、ニュースが出た日に判断する必要がありません。当てはまるかどうかを確認するだけで済みます。
- 他に買いたい銘柄ができたときは、新規の資金で買うかどうかを考える
- 手持ちを売って買い替えるなら、売る側が上の3条件に当てはまるかを先に確認する
- 当てはまらないなら、それは乗り換えではなくただの買い直しです
買うときの条件も、同じように決めておく
売る条件だけ決めても足りません。私が4%という数字だけで買ったように、 入口が雑だと、出口でも迷います。
今は買う前に次を確認しています。
- 配当性向は何%か(利益に対して無理をしていないか)
- 自己資本比率は業種の目安を満たすか
- 過去10年で減配した年はあるか。あるなら、その理由は何だったか
- この会社は何で稼いでいるか、自分の言葉で説明できるか
順番と合格ラインは高配当株を買う前に見る5つの数字にまとめています。 利回りの高さだけで並べ替えると、利益以上に配当を出している銘柄が上位に来るという問題もあります。
今日やってほしいこと
読んで終わりにせず、1つだけ手を動かしてください。 紙でもスマホのメモでもいいので、「この条件になったら売る」を3つ書き出すことです。
内容は私と同じでなくてかまいません。減配1回で売ると決めるのも、立派な軸です。 決まっていることが大事で、決め方は人それぞれです。
書き出しておけば、次に減配のニュースを見た日、あなたは検索して慌てるのではなく、 自分のメモを開いて確認するだけで済みます。その差は4年後に効いてきます。
よくある質問
減配したらすぐ売るべきですか?
理由を確認してから決めてください。一時的な損失計上やコスト増による減配なら、翌期に戻ることがあります。 事業の縮小や競合激化が原因なら、その後も減り続ける可能性が高くなります。決算短信の「経営成績の概況」を読めば、会社側の説明が確認できます。
売った銘柄がその後に上がったら、買い直していいですか?
買い直すこと自体は問題ありません。ただし「上がったから」ではなく、 買う条件(配当性向・自己資本比率・減配履歴・事業内容)を満たすかで判断してください。 値動きを理由に売買すると、同じ失敗を繰り返します。
売却して乗り換えると、税金はどうなりますか?
課税口座で利益が出ていれば、売却益に20.315%の税金がかかります。 乗り換えは「税金を払って買い直す」行為でもあるため、その分だけ乗り換え先が有利でなければ元が取れません。 この計算をしていなかったことも、当時の反省点です。
まとめ
減配のお知らせが届いた日、私は数時間で売却を決めました。4年後に振り返ると、その銘柄は株価も配当も2倍近くになっています。
失敗の本質は、減配で売ったことではありません。売る条件を決めていなかったので、他に買いたいものができたときに売ってしまったことです。
配当をもらい続けると決めて買った銘柄は、自分で決めた条件に当てはまらない限り持ち続ける。 買うときも売るときも、その日の気分ではなく自分の軸で動く。この2つだけは、4年かけて身についた収穫でした。
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