連続増配ランキングの正しい使い方|上位から順に買ってはいけない3つの理由

連続増配ランキングは「買う順番」ではなく「候補リスト」です。 上位から順に10社買うと、配当利回りの平均は2.73%になります。 高配当株を探しているつもりで、高配当ではないポートフォリオができあがります。

📌 この記事でわかること
  • 連続増配ランキング上位20社の平均利回りが2.70%である実数
  • 上位から順に買うとリース業に偏る仕組み
  • 「増配が続いている」と「増配ペースが落ちていない」の違い
  • ランキングを候補リストとして使う3ステップ

連続増配ランキングとは何を並べたものか

連続増配ランキングは、1株あたりの年間配当金を何年連続で増やしたかだけを並べたものです。 利回りの高さも、財務の健全さも、株価の割安さも、順位には入っていません。

ここを取り違えると判断を誤ります。ランキング1位の会社は「日本一長く増配を続けた会社」であって、「日本一の高配当株」ではありません。

理由1|上位20社の平均利回りは2.70%しかない

下の表は2026年8月3日時点の連続増配ランキング上位20社です(出典:ダイヤモンド・ザイ)。 利回りは同日の終値で計算されたものです。

順位銘柄(コード)連続増配配当利回り
1花王(4452)36年2.43%
2SPK(7466)28年3.03%
3三菱HCキャピタル(8593)27年3.56%
4小林製薬(4967)26年1.90%
5ユー・エス・エス(4732)26年2.77%
5リコーリース(8566)26年3.80%
7ユニ・チャーム(8113)24年2.21%
8リンナイ(5947)24年2.99%
8KDDI(9433)24年2.89%
8沖縄セルラー電話(9436)24年1.73%
8サンドラッグ(9989)24年3.54%
12サンエー(2659)23年3.36%
13パン・パシフィックHD(7532)22年0.94%
14ロート製薬(4527)22年2.11%
14栗田工業(6370)22年1.53%
14高速(7504)22年2.52%
14ニトリHD(9843)22年1.21%
18プラネット(2391)21年3.73%
19芙蓉総合リース(8424)21年3.85%
19みずほリース(8425)21年3.89%

この20社の利回りを集計すると、次のようになります。

  • 20社の平均:2.70%
  • 上位10社の平均:2.73%
  • 利回り3.5%以上:6社のみ(三菱HCキャピタル・リコーリース・サンドラッグ・プラネット・芙蓉総合リース・みずほリース)
  • 利回り3%未満:12社
  • 利回り2%未満:5社(小林製薬・沖縄セルラー・パン・パシフィックHD・栗田工業・ニトリHD)

高配当株の目安を利回り3.5%とするなら、上位20社のうち14社は対象外です。 連続増配ランキングは高配当株ランキングではない、という事実がここに出ています。

⚠️ 増配が続くほど利回りは下がりやすい

増配を続ける会社は、その実績を評価されて株価も上がります。配当が増えても株価がそれ以上に上がれば、利回りは下がります。連続増配の上位に低利回りが並ぶのは偶然ではなく、仕組みです。

理由2|上位から順に買うと、リース業だけで4社になる

上位20社のうち、リース業は4社です(三菱HCキャピタル・リコーリース・芙蓉総合リース・みずほリース)。20社の20%を1業種が占めます。

しかも利回り3.5%以上の6社のうち3社がリース業です。「連続増配で、かつ利回りも高い銘柄」を選ぼうとすると、自動的にリース業に寄ります。

リース業が悪いという話ではありません。問題は気づかないうちに1業種へ集中していることです。 セクター分散の記事で書いたとおり、1業種は投資額の25%以内に抑えるのが目安です。 上位から順に買うと、この目安を機械的に破ります。

リース業は金利が上がると調達コストが増える、という共通のリスクを持っています。4社に分けて買っても、金利が動けば4社とも同じ方向に動きます。銘柄数が増えても、分散にはなりません。

理由3|「増配が続いている」と「増配ペースが落ちていない」は別物

ランキングは年数だけを見ます。1円でも増やせば連続記録は伸びます。増配額がいくらかは、順位に反映されません。

ランキング1位の花王を例に、実際の配当額を並べます(出典:IRBANK)。

決算期1株配当前年からの増配額増配率
2021年12月期144円
2022年12月期148円+4円2.78%
2023年12月期150円+2円1.35%
2024年12月期152円+2円1.33%
2025年12月期154円+2円1.32%

直近3年は毎年2円ずつ、増配率にすると1.3%台です。日本銀行が目標に掲げる物価上昇率2%を下回ります。 記録としての連続増配は続いていますが、受け取る配当の実質的な価値は増えていません。

花王の2025年12月期の配当性向は59.2%です。利益の6割近くを配当に回している状態で、利益が伸びなければ増配の余地は限られます。

同じことがNTT(9432)でも起きています。15期連続増配ですが、直近3期の増配額は0.30円→0.10円→0.10円と縮んでいます。 年数ではなく増配額の推移を見る。これがランキングを見るときの最初の作業です。

ランキングの利回りは、いつの・どの配当で計算したかで変わる

同じ銘柄でも、出典によって利回りが違って見えます。原因は2つあります。株価の基準日と、配当を予想値で取るか実績値で取るかです。

実際に、上の表(2026年8月3日終値・会社予想の配当ベース)と、2026年8月18日終値・過去12か月に実際に支払われた配当ベースで計算し直したものを並べます。

銘柄表の利回り
(8/3・予想配当)
実績ベース
(8/18・過去12か月)
リコーリース(8566)3.80%2.81%−0.99pt
SPK(7466)3.03%2.60%−0.43pt
三菱HCキャピタル(8593)3.56%3.33%−0.23pt
みずほリース(8425)3.89%3.77%−0.12pt
花王(4452)2.43%2.21%−0.22pt

リコーリースは1ポイント近く違います。会社が予想する今期の配当と、過去1年に実際に振り込まれた配当が違うためです。 どちらが正しいという話ではありません。予想配当は増配見込みを織り込んだ数字、実績配当はすでに受け取った数字です。見ている対象が違います。

危ないのは、この違いを知らずに複数のサイトの数字を並べて比べることです。買う前には、自分で「株価はいつの終値か」「配当は予想か実績か」を確認してください。計算式は配当利回り=1株配当÷株価だけです。

連続増配「年数」は出典によって1年ずれる

花王の連続増配年数は、記事によって35年とも36年とも書かれています。どちらかが間違っているわけではありません。 予想を含めて数えるか、確定した実績だけで数えるかの違いです。

この1年のずれは、順位にも影響します。数字を突き合わせるときは、年数そのものより配当の推移表を見てください。 IRBANKで「証券コード+dividend」を開けば、10年以上の1株配当が一覧で出ます。そこで自分の目で、増えているか・いくら増えているかを確認できます。

ランキングの正しい使い方【3ステップ】

ランキングは捨てる必要はありません。使う場所を変えるだけです。

1買う順番ではなく、候補プールとして使う

上位20社を「20年以上減配せずに配当を増やし続けた会社の一覧」として保存します。順位は無視してかまいません。 この一覧の価値は順位ではなく、20年以上減配していないという事実にあります。リーマンショックもコロナ禍もまたいで配当を維持した会社だけが残っています。

2プールの中を5つの数字で絞る

候補が決まったら、配当性向・営業キャッシュフロー・自己資本比率・減配履歴・配当利回りの順に確認します。 手順は高配当株を買う前に見る5つの数字にまとめてあります。

この段階で、利回り2%未満の銘柄は自分の目的に合うか判断してください。配当を生活費の足しにしたいなら、利回り1.2%の銘柄は目的と合いません。

3買う順番は「業種が重ならない順」で自分で決める

絞り込んだ銘柄を業種別に並べ直し、違う業種から1社ずつ買います。同じ業種の2社目は、他の業種を一巡してからにします。 具体的な組み方は初心者のポートフォリオの作り方で解説しています。

📌 使い方のまとめ
  • ランキング=候補プール。順位は買う順番ではない
  • 年数ではなく増配額の推移を見る
  • 利回りは株価の基準日と配当の取り方で1ポイント近く変わる
  • 買う順番は業種が重ならないように自分で決める

よくある質問

連続増配株は減配しないのですか?

減配することはあります。連続増配は過去の実績であって、将来の約束ではありません。 業績が悪化すれば増配は止まり、減配もあり得ます。実際に長い連続記録を持つ会社でも、記録が途切れた例はあります。

連続増配株とタコ配銘柄はどう違いますか?

利益の裏付けがあるかどうかです。連続増配でも配当性向が100%を超えていれば、利益以上に配当を払っている状態です。 見分け方はタコ配銘柄の見分け方で解説しています。 また、会社が「減配しない」と宣言する累進配当や、純資産を基準にするDOEについては累進配当とDOEの解説記事にまとめました。

連続増配株だけでポートフォリオを組んでもいいですか?

組めますが、利回りは低くなります。上位20社の平均は2.70%です。 月3万円の配当を目指すなら、利回り3.5〜4%台の銘柄を組み合わせる必要があります。必要な金額は月3万円のモデルポートフォリオで計算しています。

まとめ

連続増配ランキングは、20年以上減配しなかった会社を教えてくれる優れた候補リストです。 ただし順位は「増配を続けた年数」の順であって、買う順番ではありません。

上位から順に買えば、平均利回り2.70%・リース業4社という偏ったポートフォリオになります。 ランキングで候補を集め、5つの数字で絞り、業種が重ならない順に買う。この3ステップに組み替えてください。

※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。

📣 まずは口座開設から始めよう

口座開設は無料・維持費も0円。
「開いてから考える」で十分です。どちらも5〜10分で申し込めます。

【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。記載した連続増配年数・配当利回りは出典および取得時点のものであり、株価の変動や配当予想の修正によって変わります。企業の財務数値は決算ごとに変動するため、投資判断にあたっては必ず最新の決算短信・有価証券報告書をご確認ください。株式投資には株価変動・減配・元本割れのリスクがあります。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。当ブログは投資助言業者ではありません。