値上がりした銘柄を売って比率を戻す必要はありません。 配当金と新規資金の投入先を、比率が下がっている業種に変えるだけで、時間をかけて元の配分に戻せます。
売却には譲渡益への課税と手数料がかかります。この記事では、いつ・どうやって・売らずにリバランスするかを、 2年で比率が25%以内に収まる具体例で説明します。
- リバランスが必要になる仕組み(値上がりで比率が崩れる理由)
- 実行のタイミング(頻度とトリガーになる数字)
- 現在の比率の正しい出し方(取得額ではなく時価評価額で計算する)
- 売らずに直す「買い増し型リバランス」の手順と2年間の推移
- 例外的に売ってよい場面と、売却との税金比較
リバランスとは、値上がりで崩れた比率を戻す作業
高配当株を複数業種に分けて買っても、その比率は時間とともに崩れます。 値上がりした業種の評価額が膨らみ、他の業種の比率が相対的に下がるためです。
セクター分散入門で説明した「1業種25%以内」の目安を最初に守っていても、 1年、2年と経つうちに、値上がりした業種だけが上限を超えていきます。リバランスは、これを元の比率に戻す作業です。
いつやるか:四半期に1回確認、25%を超えたら実行
毎月見直す必要はありません。目安は次の2つです。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 確認する頻度 | 四半期に1回(3ヶ月ごと) |
| 実行するトリガー | 1業種の比率が投資額の25%を超えたとき |
25%以内という基準はセクター分散入門と同じものを使います。 確認して超えていなければ、その回は何もしません。
現在の比率は「時価評価額」で出す
比率を計算するとき、取得したときの金額ではなく、いまの評価額を使ってください。 値上がりした銘柄は取得額のままだと比率が低く見えるため、実態を見誤ります。
証券口座の保有銘柄一覧には「評価額」の列があります。業種ごとに合計し、全体に占める割合を出します。 6業種に分けている場合、電卓での計算は業種数ぶんの割り算だけで済みます。
売らずに直す「買い増し型リバランス」の手順
600万円を6業種に100万円ずつ(各16.7%)で始めた例で説明します。 ある業種が値上がりして200万円になり、他5業種は100万円のまま据え置きだったとします。
※横にスクロールできます
| 時点 | 値上がりした業種 | 他5業種の合計 | 全体 | 値上がりした業種の比率 |
|---|---|---|---|---|
| スタート | 100万円 | 500万円 | 600万円 | 16.7% |
| 値上がり後 | 200万円 | 500万円 | 700万円 | 28.6% |
| 買い増し1年目 | 200万円 | 560万円 | 760万円 | 26.3% |
| 買い増し2年目 | 200万円 | 620万円 | 820万円 | 24.4% |
手順は3つです。
- 値上がりした業種への追加投資を止める。この業種の株は買い増ししません
- 受け取った配当金(税引後)を、比率が低い5業種に振り分ける
- 新規の積立資金も同じ5業種に投入する
この例では、配当金と新規積立を合わせて年間60万円を値上がりした業種以外に投入しました。 1年目で比率は28.6%から26.3%へ下がり、2年目で24.4%まで下がって25%以内に収まります。 値上がりした銘柄は1株も売らず、値上がり益もそのまま保有し続けています。
例外:売ってリバランスすべき場面
比率調整は買い増しで行うのが原則ですが、次の場合は売却を検討してください。 これはリバランスではなく、投資判断そのものの見直しです。
⚠️ 保有する理由が消えたときは、比率に関係なく売却を検討
減配が発表された、業績が継続的に悪化している、購入時の前提(増配方針・財務健全性)が崩れた——。 こうした変化は比率とは無関係に発生します。売り時の判断基準を参照してください。
売却と買い増し、どちらが有利か
値上がりした株を一部売って比率を戻す方法もありますが、コストの面で買い増しが有利です。
| 方法 | 手順 | コスト |
|---|---|---|
| 売却して埋め戻す | 値上がりした業種を一部売却し、他業種に振り替える | 値上がり分に20.315%の譲渡益課税、売買手数料 |
| 買い増しで埋め戻す | 配当金・新規資金の投入先を他業種に変える | 買付手数料のみ(証券会社によっては無料) |
配当金の再投資については配当金を再投資する複利の力で詳しく説明しています。 リバランスの資金源としても、この再投資の仕組みをそのまま使えます。
リバランス実行チェックリスト
- 直近3ヶ月以内に業種ごとの評価額比率を確認した
- 比率は取得額ではなく時価評価額で計算した
- 25%を超えている業種がある
- その業種への追加投資は止めている
- 配当金と新規資金の投入先を、比率が低い業種に変えた
- 値上がりした銘柄自体は売っていない(保有理由が崩れていない限り)
まとめ:リバランスは「売る」ではなく「投入先を変える」
- 比率は放っておくと値上がりした業種に偏る
- 確認は四半期に1回、実行は1業種25%超がトリガー
- 比率は時価評価額で計算する
- 配当金と新規資金を比率が低い業種に投入すれば、売らずに2年ほどで戻る
- 減配・業績悪化など保有理由が消えたときの売却は、比率調整とは別の判断
今週、保有銘柄の評価額を業種ごとに合計してみてください。 25%を超えている業種があれば、次の配当金の振り分け先を変えるだけで直せます。
次に読まれている記事
セクター分散入門 →※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。
📣 配当金の再投資先を変えるなら1株から買える証券会社を
単元未満株なら、少額の配当金でも比率が低い業種にすぐ振り分けられます。
口座開設は無料・維持費も0円。どちらも5〜10分で申し込めます。
【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。記事中の数値例(600万円・6業種・年間60万円など)は計算方法を説明するための仮定であり、実際の値動きや配当額を保証するものではありません。譲渡益課税の税率(20.315%)は2026年時点の一般的な税率であり、口座の種類や制度により異なる場合があります。株式投資には株価変動・減配・元本割れのリスクがあります。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。当ブログは投資助言業者ではありません。
