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「配当利回り5%超で、現金が借金を上回るインフラ企業——そんな高配当株があったら気になりませんか?」
今回紹介する世紀東急工業(1898)は、東急グループに属する道路舗装の大手企業です。私たちが毎日歩き、車で走る道路——そのアスファルトをつくり、敷き、補修しているのがこの会社です。最大の魅力は配当利回り5.03%という高水準に、現金144億円が有利子負債66億円を上回るネットキャッシュの堅い財務が組み合わさっていること。しかも2023年3月期から2026年3月期にかけて、ROE(経営効率)が2.84%から10.55%へ回復しました。
ただし、「配当が年によって大きく動く(17円→90円→71円)」「2026年に減配した」「公共投資や資材価格に業績が左右される」という注意点もあります。コアラ先生がメリット・デメリットを包み隠さず解説します。
基本情報
世紀東急工業はどんな会社?
世紀東急工業は、東急グループに属する道路舗装の専業大手です。事業は大きく2つ。ひとつは道路のアスファルト舗装・補修などを行う「土木工事」、もうひとつは舗装の材料となる「アスファルト合材」の製造・販売です。全国に合材プラント(材料工場)を持ち、国や自治体が発注する公共工事と、民間工事の両方を手がけています。
地味なビジネスに見えますが、道路は一度つくって終わりではありません。傷んだ道路の補修や、橋・トンネルの老朽化対策、災害復旧、防災・国土強靱化——日本のインフラは更新の時期を迎えており、舗装・補修の需要は中長期で底堅いと考えられます。一方で、公共工事の予算や、アスファルトの原料となる原油・石油製品の価格に業績が左右される面もあります。
- 配当利回り5.03%の高水準——高配当株として十分な利回り
- 実質無借金に近いネットキャッシュ——現金144億円が有利子負債66億円を上回る
- ROEが大きく回復——2.84%(2023/3)→10.55%(2026/3)へ改善
- インフラ老朽化・国土強靱化という追い風——舗装・補修需要は中長期で底堅い
- 配当が大きく変動する——10円(2018)→47円(2020)→30円(2022)→90円(2024)→71円(2026)と、年によって上下が激しい
- 2026年に減配(90円→71円)——直近で減配しており、「安定増配株」ではない
- 一部の年は配当性向が100%超——2024年は利益以上の配当を出した(119.7%)
- 公共投資・資材価格に業績が左右される——2023年は純利益が11億円まで落ち込んだ実績あり
現在の株価・配当情報
世紀東急工業の配当は、毎年同じではなく業績に連動して上下します。会社は株主還元方針として「総還元性向30%程度を目安とした安定的・継続的な株主還元」を掲げています。つまり「その年の利益に応じて還元する」スタイルのため、利益が伸びた年は増配、減った年は減配になりやすいのです。実際、業績が良かった2024〜2025年は90円まで増配し、2026年は71円へ減配しました。連続増配のような"毎年必ず増える"タイプではなく、「高い利回りだが金額は変動する」と理解して持つ必要があります。
世紀東急工業の配当利回りが高い理由は3つ
利回り5.03%は、東証プライムの平均を大きく上回る水準です。なぜここまで高いのか。理由は3つあります。
理由1:利益が3年で4倍になり、配当がそれに連動して増えた
この会社の配当は、業績に合わせて上下します。株主還元方針が「総還元性向30%程度を目安」だからです。利益が増えれば配当も増える仕組みです。
そして利益が伸びました。
| 決算期 | 当期純利益 | 1株配当 |
|---|---|---|
| 2023年3月期 | 11.3億円 | 30円 |
| 2024年3月期 | 27.4億円 | 90円 |
| 2025年3月期 | 38.9億円 | 90円 |
| 2026年3月期 | 46.7億円 | 71円 |
| 2027年3月期(会社予想) | 47億円 | 75円(予想) |
純利益は3年で11.3億円から46.7億円へ、約4倍になりました。配当も30円から71円へ増えています。利回りの計算式は「配当 ÷ 株価」なので、配当が増えれば利回りは上がります。
理由2:株価が利益の伸びに追いついていない
利益が4倍になっても、株価が4倍になったわけではありません。その差はPERに表れています。
- PER 11.71倍(当ブログの目安は15倍以下)
- PBR 1.27倍(同じく1.5倍以下)
建設業は受注産業で、年ごとの利益のブレが大きい業種です。市場は「今の利益がこの先も続くとは限らない」と見て、株価を控えめに評価します。分子(配当)が増えて、分母(株価)が抑えられている。これが利回り5%の正体です。
理由3:配当を出すための現金がある
高い配当を続けるには、現金の裏づけが要ります。この会社は現金144億円に対して有利子負債66億円で、現金が借金を上回るネットキャッシュの状態です。自己資本比率も52.3%あります。
借金をして配当を出しているわけではない、ということです。
市場は「この配当は減るかもしれない」と見ています。だから株価が上がらず、利回りが高いまま残っています。そして実際に、2026年3月期は90円から71円へ減配しました。
過去には配当性向が利益を超えた年もあります(2023年3月期97.6%、2024年3月期119.7%)。利益以上の配当を出した年があるということです。
利回り5%は、儲けが約束された数字ではありません。「配当が減ることもある」というリスクを引き受けた対価です。ここに納得できるかどうかが、この銘柄を持てるかの分かれ目になります。
スクリーニング指標
高配当株選びの参考指標です。数値はすべて参考程度にご確認ください。
| 指標 | この銘柄の数値 | 目安 |
|---|---|---|
| 配当利回り (株価に対する配当金の割合) |
5.03% | 3.5%以上 |
| 自己資本比率 (財務の安定度) |
52.3% | 40%以上 |
| 有利子負債倍率 (純資産に対する借金の割合) |
約0.15倍(ネットキャッシュ) | 1倍以下 |
| PER (株価収益率・割安度の目安) |
11.71倍 | 15倍以下 |
| PBR (株価純資産倍率) |
1.27倍 | 1.5倍以下 |
| 配当性向 (利益のうち配当に回す割合) |
55.7% | 20〜60% |
| ROE (自己資本利益率・経営効率) |
10.55% | 8%以上 |
| 営業キャッシュフロー (実際の現金の流れ) |
プラス(純利益10年連続黒字・現金144億円) | 必ずプラス |
| 連続増配年数 | 配当は業績連動で変動。2026年に減配(90→71円)あり | 10年以上で優良 |
| 時価総額 (会社全体の値段) |
約546億円 | 500億円以上 |
📊 上の5つの指標は、どれをどの順番で見るかで判断が変わります。見方は高配当株を買う前に見る5つの数字にまとめています。
10年グラフ(配当・業績)
過去10年の配当金推移
| 年度 | 1株あたり配当金 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2017年3月期 | 17円 | 基準年 |
| 2018年3月期 | 10円 | 減配 |
| 2019年3月期 | 27円 | 大幅増配 |
| 2020年3月期 | 47円 | 大幅増配 |
| 2021年3月期 | 43円 | 減配 |
| 2022年3月期 | 30円 | 減配 |
| 2023年3月期 | 30円 | 維持 |
| 2024年3月期 | 90円 | 大幅増配(中間配当再開) |
| 2025年3月期 | 90円 | 維持 |
| 2026年3月期(実績) | 71円 | 減配 ▼21% |
| 2027年3月期(予想) | 75円 | 増配(予想) |
🐨 コアラ先生のひとこと
この銘柄を選んだ理由:
世紀東急工業に注目したのは「利回り5.03% × ネットキャッシュ × 業績回復」という組み合わせです。現金144億円が有利子負債66億円を上回る堅い財務で、ROEは2.84%から10.55%まで回復。道路の舗装・補修というインフラ需要は、老朽化対策や国土強靱化を背景に中長期で底堅いと考えられます。地味ですが、生活に欠かせない仕事をしている会社です。
初心者へのアドバイス:
この銘柄でいちばん大事なのは「配当は変動する」と理解しておくことです。業績に連動して還元する方針なので、利益が減れば配当も減ります。実際、過去には何度も増配・減配を繰り返してきました。"安定した配当が欲しい"なら、連続増配の銘柄と組み合わせて、世紀東急工業は「高利回り枠」として一部だけ持つのが安心です。
注意点:
建設・舗装業は、公共工事の予算や、アスファルトの原料となる原油・石油製品の価格に業績が左右されます。実際2023年は資材高などで純利益が11億円まで落ち込みました。今は回復していますが、こうした外部要因で利益が振れやすい点は頭に入れておきましょう。
こんな方に向いている / 向いていない銘柄
- 配当利回り5%以上の高水準を今ほしい人
- ネットキャッシュ・インフラ関連の底堅さを評価する人
- 業績回復・ROE改善の局面に乗りたい人
- PER11倍台の手頃な水準を評価できる人
- 公共投資や資材価格の変動を理解できる中上級者
- 「10年連続増配」のような安定増配株だけを求める人
- 配当の変動・減配を絶対に避けたい人
- PBR1倍割れの明確な割安株を狙いたい人
- 業績が外部要因で振れるのを嫌う人
- 毎年同じ配当金で生活設計をしたい人
まとめ:コアラ先生の総合評価
| 評価軸 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 配当利回り | ★★★★★ | 5.03%は高配当株として十分以上の水準 |
| 財務健全性 | ★★★★☆ | 自己資本比率52.3%・ネットキャッシュ(現金144億>借金66億) |
| 増配継続性 | ★★☆☆☆ | 業績連動で増配・減配を繰り返す。2026年も減配あり |
| 割安度 | ★★★★☆ | PER11.71倍は手頃。PBR1.27倍で純資産割れではない |
| 成長性・収益性 | ★★★★☆ | ROEが2.84%→10.55%へV字回復。2027期も増収増益予想 |
配当金・業績データ
IRBANK:https://irbank.net/1898/dividend
財務データ:https://irbank.net/1898/results
株価データ
Yahoo!ファイナンス:https://finance.yahoo.co.jp/quote/1898.T
配当利回りの計算方法
年間配当金 ÷ 現在株価 × 100 = 配当利回り(%)
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【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。 掲載データは2026年9月2日終値時点のものです。 株価・配当金・各種指標は常に変動します。投資にはリスクが伴います。 投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。 当ブログは投資助言業者ではありません。
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