【高配当株】NTT(9432)を徹底分析!
15期連続増配・1万5,900円で買える大型株の弱点

⚠️ ご注意ください
この記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。 掲載しているデータは2026年3月期(2026/3期)確定値をベースにしています(出典:IRBANK)。 株価は2026年8月7日時点です。株価・配当金は変動しますので、最新情報は必ずYahoo!ファイナンス・IRBANKでご確認ください。 投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。

NTT(証券コード:9432)は、100株を約1万5,900円で買えます。 2023年7月の株式分割で1株が25株になり、それまで十数万円必要だった単元価格が1万円台まで下がりました。

配当は2012年3月期から2026年3月期まで15期連続で増配しています。 「安く買えて、毎年増配している大企業」——これだけ聞けば、初心者が最初に買う1銘柄として完璧に見えます。

先に結論を書きます。NTTには、増配の記録だけでは見えない3つの弱点があります。 自己資本比率が20.8%しかないこと、累進配当を掲げていないこと、 そして増配の余力が細ってきていること。この3つを、IRBANKのデータで順に確認していきます。

基本情報

日本電信電話(NTT)
9432
情報・通信業
東証プライム
3月(3月31日)
年2回(中間・期末)
あり(長期保有者向けdポイント)
約14兆3,975億円

現在の株価・配当情報

配当利回り(年間配当金 ÷ 現在株価 × 100)
3.40%
株価(2026年8月7日)
159円
1株あたり年間配当金(2027/3期予想)
5.40円
計算式:5.40円(配当金)÷ 159円(株価)× 100 = 3.40%
⚠️ 株価は常に変動します。現在の利回りは必ずYahoo!ファイナンスでご自身でご確認ください。

100株買うには約1万5,900円が必要です。年間の配当金は税引前で540円、 NISA口座以外なら約20.315%が引かれて手取りは約430円になります。 1,000株(約15万9,000円)で税引前5,400円、1万株(約159万円)で税引前5万4,000円という計算です。

📡 通信株を見るときの注意点
通信会社の強みは毎月自動的に入ってくる利用料金です。 景気が悪くなってもスマホを解約する人は少ないため、利益が急に消えることはありません。 その代わり、基地局や光回線への設備投資が毎年重くのしかかります。 稼いだ現金の多くが設備の維持と更新に消えるため、借入に頼る体質になりやすい業種です。 NTTの自己資本比率が20.8%と低いのも、この構造と無関係ではありません。

スクリーニング指標

数値はIRBANK(2026年8月7日時点/2026年3月期確定値)ベースの参考値です。

指標NTTの数値目安・コメント
配当利回り
(株価に対する配当金の割合)
3.40%(2027/3期予想) 目安3.5%以上 ⚠️ わずかに届かない
自己資本比率
(総資産に占める自己資本の割合)
20.77% 40%以上 ❌ 目安を大きく下回る
PER
(株価収益率・割安度の目安)
13.21倍(予想) 15倍以下 ✅
PBR
(株価純資産倍率)
1.31倍(実績) 1.5倍以下 ✅
配当性向
(利益のうち配当に回す割合)
42.0%(2026/3期) 20〜60% ✅ ただし4年で7ポイント上昇
ROE
(自己資本利益率・経営効率)
約10.4%(試算) 8%以上 ✅ EPS12.61円÷BPS121.07円で試算
連続増配年数 2012/3期〜2026/3期の15期連続 増配継続中 ✅ 分割調整後の金額で判定
時価総額
(会社全体の値段)
約14兆3,975億円 500億円以上 ✅ 超大型株

❌が付いたのは自己資本比率だけです。株価の割安さを示すPERとPBRは、どちらも目安の内側に収まっています。 三菱商事がPBR1.76倍まで買われているのと対照的に、NTTは1.31倍。 市場からの期待が株価に織り込まれ切っていない銘柄と言えます。

11期分のグラフ

2016/3期から2019/3期までの4年間、株価は94〜98円の範囲でほとんど動いていません。 動き出したのは2020年以降で、2024/3期末には約180円まで上がりました。 ただしそこが天井で、2025/3期末は約145円まで下げています。 約4年で1.9倍になり、そこから2割下げた——これが直近の実像です。 2026年8月7日は159円。値動きは商社株ほど激しくありませんが、上がりっぱなしでもありません。 ※グラフの値は配当金÷配当利回りから逆算した概算値です。正確な株価はYahoo!ファイナンスでご確認ください。
増配 減配 維持
赤い棒が1本もありません。11期すべてが増配です。 ただし伸び方は年々ゆるやかになっています。 2018/3期は前年から0.60円、2019/3期も0.60円積み増しました。 ところが2024/3期は0.30円、2025/3期以降は0.10円ずつです。 増配は続いていますが、一段ずつの高さは6分の1になりました。
11期のうち、3.5%のラインを超えたのは2019/3期の3.83%、2020/3期と2021/3期の3.69%、2025/3期の3.59%の4回だけです。 NTTは「常に高利回り」の銘柄ではありません。 利回りが3.5%を超えたのは株価が下がった年で、2025/3期がまさにそれでした。 配当が増えたからではなく、株価が約180円から約145円へ下げたために利回りが上がっています。 利回りの数字だけを追うと、この違いを見落とします。

過去11期の配当金推移(見かけの減配も載せます)

金額は3回の株式分割を調整した後の値です。カッコ内は当時、実際に発表された金額です。 発表額だけを見ると2016/3期と2020/3期は「減った」ように見えますが、分割によるものです。

年度1株あたり年間配当金前年比
2016/3期2.20円(110円)増配 +0.40円 分割影響
2017/3期2.40円(120円)増配 +0.20円
2018/3期3.00円(150円)増配 +0.60円
2019/3期3.60円(180円)増配 +0.60円
2020/3期3.80円(95円)増配 +0.20円 分割影響
2021/3期4.20円(105円)増配 +0.40円
2022/3期4.60円(115円)増配 +0.40円
2023/3期4.80円(120円)増配 +0.20円
2024/3期5.10円増配 +0.30円 分割影響
2025/3期5.20円増配 +0.10円
2026/3期5.30円増配 +0.10円
2027/3期(予想)5.40円増配 +0.10円
📝 総評:2016/3期(2.20円)から2026/3期(5.30円)まで、10年で配当は2.41倍。 三菱商事の6.6倍と比べると穏やかですが、赤い棒が1本もない点がNTTの持ち味です。 ただし直近3期の増配額は0.30円→0.10円→0.10円。ペースは明らかに落ちています

NTTは「累進配当」を掲げていません

ここは誤解されやすい点です。NTTが示しているのは 「継続的な増配の実施を株主還元の基本的な考え方とする」という表現です。

三菱商事などが明示している累進配当は「減配せず、維持または増配する」という宣言で、 業績が悪化した年に配当を下げないという意思表示にあたります。 NTTの表現はこれより一段弱く、減配しないという約束にはなっていません

15期連続増配という実績は事実です。実績と方針は別物だと分けて考えてください。 累進配当の中身については三菱商事(8058)の記事で詳しく解説しています。

⚠️ 「連続増配だから安心」とは考えない
連続増配は過去の記録であって、将来の保証ではありません。 NTTの場合、直近3期の増配額は0.10円前後まで縮んでいます。 記録を途切れさせない範囲で最小限だけ増やしている、という読み方もできます。 記録の年数ではなく、増配の中身を見てください

財務の安定性(1株利益と配当性向)

配当を払い続けられるかは、利益に対して配当がどれだけ重いかで判断します。

年度1株利益(EPS)配当性向1株配当(調整後)
2016/3期7.01円31.4%2.20円
2018/3期9.00円33.3%3.00円
2020/3期9.25円41.1%3.80円
2021/3期9.93円42.3%4.20円
2022/3期13.17円34.9%4.60円
2023/3期13.92円34.5%4.80円
2024/3期15.09円33.8%5.10円
2025/3期11.96円43.5%5.20円
2026/3期12.61円42.0%5.30円

注目したいのは2025/3期です。1株利益が15.09円から11.96円へ、 1年で20.7%も減りました。それでもNTTは配当を5.10円から5.20円へ増やしています。 結果として配当性向は33.8%から43.5%へ、1年で9.7ポイント上昇しました。

利益が減った年にも増配を通した点は、株主還元への姿勢として評価できます。 同時に、増配の余力がその分だけ減ったということでもあります。 2026/3期は利益が12.61円へ戻り、配当性向は42.0%に下がりました。 この水準ならまだ余裕はありますが、2022/3期の34.9%と比べれば明確に厚みは薄くなっています。

自己資本比率20.8%をどう見るか

NTT最大の弱点がここです。自己資本比率20.77%は、当ブログの目安40%を大きく下回ります。 総資産のうち、返さなくてよいお金は5分の1しかないという意味です。

理由の1つが2020年のNTTドコモ完全子会社化です。 上場していたドコモを買い取るために巨額の資金を借入で調達し、負債が大きく膨らみました。

通信業は毎月の利用料という安定した現金収入があるため、この業種で自己資本比率が低いこと自体は珍しくありません。 ただし金利が上がる局面では利払い負担が重くなります。 自己資本比率を重視する方針なら、この1点でNTTは選択肢から外れます。

📊 同じ通信セクターとの比較
同業のKDDI(9433)沖縄セルラー電話(9436)も記事にしています。 財務の厚みという観点では、この3社の中でNTTが最も薄い構造です。 通信株を買うなら、3社を並べて自己資本比率と利回りを見比べてから決めてください。

株式分割で何が変わったか

NTTは過去11期で3回の株式分割をしています。 2015年7月1日に1株→2株、2020年1月1日に1株→2株、そして2023年7月1日に1株→25株です。 合計すると1株が100株になった計算になります。

この分割で変わったのは買いやすさです。 分割前は100株を買うのに十数万円必要でしたが、現在は約1万5,900円で買えます。 NTTは個人株主を増やす狙いを公表しており、その意図どおり株主数は大きく増えました。

⚠️ 「1株159円だから安い」ではありません
株価が3桁だと割安に感じますが、1株の値段と割安さは無関係です。 割安かどうかを見るのはPER13.21倍・PBR1.31倍という指標のほうです。 分割は1つのケーキを切り分ける数を増やしただけで、ケーキ全体の大きさは変わりません。 指標の読み方は高配当株を買う前に見る5つの数字で解説しています。

🐨 コアラ先生のひとこと

コアラ先生から読者のみなさんへ
💡

この銘柄に注目した理由:
1万5,900円から始められるからです。高配当株を始めたいけれど、 いきなり数十万円を1銘柄に入れるのは怖い——この気持ちはよく分かります。 NTTなら1万円台で1銘柄を持てるので、配当金が実際に振り込まれる体験を小さく試せます。 初めて配当金が振り込まれた日にも書きましたが、 最初の1回の入金は、金額以上に投資を続ける力になります。

🌱

初心者へのアドバイス:
利回り3.40%は当ブログの目安3.5%をわずかに下回ります。 過去11期を見ると、利回りが3.5%を超えたのは株価が下がった年の4回だけでした。 つまり今の3.40%はNTTとして特別に低い水準ではありません。 とはいえ配当の伸びが0.10円まで細っているので、 「配当が育つ株」としての期待は控えめに見積もるのが妥当です。 通信という業種でポートフォリオを支える1本、という位置づけが合っています。

⚠️

注意点:
リスクは3つあります。1つ目は自己資本比率20.8%。金利上昇局面では利払いが重くなります。 2つ目は増配ペースの鈍化。直近3期は0.30円→0.10円→0.10円で、記録は続いても中身は薄くなっています。 3つ目は業種の集中です。NTT・KDDI・沖縄セルラーを並べて買っても、 通信業界の競争環境が厳しくなれば全部同時に影響を受けます。 通信株はポートフォリオの中で1業種として数えてください。 考え方はセクター分散入門にまとめています。

よくある質問

Q. NTTは減配したことがありますか?

分割調整後の金額で見ると、2012年3月期から2026年3月期まで15期連続で増配しており、減配はありません。ただし発表された金額だけを見ると、2016年3月期は前期180円から110円へ、2020年3月期は前期180円から95円へ減ったように見えます。これは2015年7月と2020年1月にそれぞれ1株を2株に分割したためで、1株あたりの金額が半分になっただけです。受け取る配当の総額は増えています。

Q. NTTは累進配当を掲げていますか?

掲げていません。NTTの表現は「継続的な増配の実施を株主還元の基本的な考え方とする」であり、「減配せず維持または増配する」と明示する累進配当とは区別されます。15期連続増配は事実ですが、減配しないという約束ではないと理解してください。

Q. 自己資本比率20.8%は低くないですか?

当ブログの目安40%を大きく下回ります。2020年のNTTドコモ完全子会社化で有利子負債が膨らんだことが主な理由です。通信業は毎月の利用料という安定収入があるため業種としてこの水準は珍しくありませんが、金利が上がる局面では利払い負担が増えます。財務の余裕という点では弱い銘柄です。

Q. NTTは100株いくらで買えますか?

2026年8月7日の株価159円なので、100株で約1万5,900円です。2023年7月1日の1株→25株の分割で、それまで十数万円必要だった単元価格が1万円台まで下がりました。年間配当は5.40円の予想なので100株で540円、NISA口座以外なら約20.315%が引かれて手取りは約430円になります。

Q. NISAで買えますか?

買えます。成長投資枠の対象です。100株で約1万5,900円なので、年間240万円の成長投資枠に対して十分な余裕があります。NISA口座なら配当金にかかる約20.315%の税金がありません。ただし受取方法を「株式数比例配分方式」にしていないと非課税になりませんので、こちらの記事で設定を確認してください。

📂 このページのデータはどこで調べたの?

配当金・業績データ(出典:IRBANK)
配当金:https://irbank.net/9432/dividend
業績データ:https://irbank.net/9432/results
トップページ:https://irbank.net/9432

株価データ
現在株価159円は2026年8月7日時点のIRBANK掲載値です。 グラフ内の年度末株価は「配当金 ÷ 配当利回り」から逆算した概算値です。
Yahoo!ファイナンス:https://finance.yahoo.co.jp/quote/9432.T

配当利回りの計算方法
年間配当金 ÷ 現在株価 × 100 = 配当利回り(%)

株式分割の調整
2015年7月1日と2020年1月1日に各1株→2株、2023年7月1日に1株→25株の分割が行われました。 累計で1株が100株になっています。過去の配当金は現在の株数に揃えて割り戻しています (例:2016年3月期110円 ÷ 50 = 2.20円。2015年7月の分割は済んでいるため残りの調整倍率は50倍)。

配当性向の検算
本記事の配当性向は「1株配当 ÷ 1株利益」で再計算し、IRBANKの掲載値と一致することを確認しています (例:2026/3期 5.30円 ÷ 12.61円 = 42.0%)。

会社発表の一次情報
公式IR:https://group.ntt/jp/ir/

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【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。 掲載データは2026年3月期(2026/3期)確定値をベースにしています(出典:IRBANK)。 株価は2026年8月7日時点です。株価・配当金・各種指標は常に変動します。投資にはリスクが伴います。 投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。 当ブログは投資助言業者ではありません。

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