配当落ちで下がった株価は、いつ戻るのか|60銘柄344回を実測しました

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権利付最終日の翌日、株価は配当の分だけ下がります。これを配当落ちと呼びます。ここまでは、どの入門書にも書いてあります。 書かれていないのは、その次です。下がった株価は、いつ戻るのか。

当ブログで紹介してきた高配当株60銘柄について、直近3年間の配当落ち344回を実際の株価で調べました。 権利付最終日の終値に戻るまで、中央値で24営業日。9月末権利に限れば38営業日でした。 しかもこの3年は、日経平均が32,468円から64,011円へ97.2%上がった期間です。

2026年9月の権利付最終日は9月28日(月)です。この記事は、その日に慌てて買わなくていい理由を、理屈ではなく実測値で説明します。

📌 この記事でわかること
  • 配当落ちした株価が元に戻るまでの実測日数(中央値24営業日・9月末権利は38営業日)
  • 配当額ちょうど下がるとは限らない(57.8%は配当額より深く下がった)
  • 戻るまでに見ることになる含み損の大きさ(配当額の3.0倍)
  • 3年経っても戻っていない銘柄が8.1%あるという事実
  • 翌日に戻る銘柄と、半年戻らない銘柄がある(その差は同じ配当落ちでも大きい)
  • 9月28日までにやるべきこと、やらなくていいこと

1. 戻るまで中央値24営業日。9月末権利なら38営業日

先に結論を置きます。配当落ちで下がった株価が、権利付最終日の終値に戻るまでにかかった日数です。

対象件数回復までの中央値
全体(3年・全月)344回24営業日
9月末〜10月頭の配当落ち121回38営業日

24営業日は、休日を挟むと暦で約1か月です。38営業日なら約2か月かかります。 権利付最終日に買った人は、配当を受け取る代わりに、その間ずっと含み損の口座を見ることになります。

なぜ9月末権利のほうが時間がかかるのか、理由はこの調査では特定できませんでした。 わかったのは「3月末より9月末のほうが戻りに時間がかかっている」という事実だけです。

2. 何を、どう調べたか

数字の出どころを先に示します。読んだあとで検算できない記事に価値はありません。

項目内容
対象銘柄当ブログで個別記事を書いた高配当株 60銘柄
期間2023年9月11日〜2026年9月11日(3年・734営業日
対象イベント期間内に発生した配当落ち 344回
比べた価格権利付最終日の終値と、権利落ち日以降の終値
「戻った」の定義権利落ち日以降、終値が権利付最終日の終値以上になった最初の日
データYahoo!ファイナンスの日足と配当履歴

データの正しさは、当ブログの既存記事と突き合わせて確認しました。 例えば世紀東急工業(1898)の配当履歴は、2023年9月と2024年3月が各45円で年90円、2025年9月が35円・2026年3月が36円で年71円。 世紀東急工業の記事に書いた「90円から71円への減配」と一致します。

3. 配当額ちょうど下がる、とは限らない

入門書には「配当の分だけ下がる」と書かれます。344回を数えると、そうなっていませんでした。

権利落ち日の値動き件数割合
配当額より深く下がった199回57.8%
下がったが、配当額より浅かった136回39.5%
むしろ上がった9回2.6%

下落額を配当額で割った値の中央値は1.11倍でした。半分以上のケースで、配当でもらう金額より株価の目減りのほうが大きいという結果です。

⚠️ 「配当をもらって、すぐ売る」が成立しない理由

配当と同額だけ株価が下がるなら、損得はゼロです。そこから配当に20.315%の税金がかかるため、差し引きではマイナスになります。 実測では下落のほうが大きいケースが57.8%あるので、条件はさらに不利です。

NISA口座なら配当は非課税ですが、株価が下がることは変わりません。 非課税にするには受取方法の設定が必要です。詳しくは株式数比例配分方式の記事をご覧ください。

4. 戻るまでの日数は、大きく散らばっている

中央値24営業日という1つの数字だけでは、実態が見えません。分布で示します。

権利付最終日の終値に戻るまで件数(344回中)割合
5営業日以内64回18.6%
10営業日以内106回30.8%
20営業日以内147回42.7%
60営業日以内228回66.3%
3年経っても戻っていない28回8.1%

読み方は2つあります。ひとつは「5回に1回は1週間で戻る」。 もうひとつは、60営業日以内に戻ったのが66.3%ということは、裏を返せば「3回に1回は3か月たっても戻らない」です。 どちらも同じデータですが、権利付最終日に買う判断をするなら、見るべきは後者です。買う前に、悪いほうの数字を見ておくべきだからです。

5. 戻るまでの間に、含み損はどこまで広がるか

「いつ戻るか」と同じくらい効いてくるのが、戻るまでの途中でどこまで下がるかです。 権利付最終日の終値から、回復するまでの間につけた最安値を測りました。

権利付最終日の終値からの最大下落件数(344回中)割合
3%以上下がった262回76.2%
5%以上下がった196回57.0%
10%以上下がった97回28.2%
20%以上下がった24回7.0%

最大下落率の中央値は6.1%、9月末権利に限ると6.5%でした。 これを配当額と比べると、意味がはっきりします。下落額は配当額の3.0倍(中央値)です。

たとえば1株50円の配当なら、100株で5,000円です。その5,000円を受け取るまでの間に、 評価額は15,000円下がる局面を通ることになります。 配当は年に1回か2回ですが、含み損は毎日口座に表示されます。権利付最終日の駆け込み買いがつらいのは、この非対称さにあります。

6. 3年経っても戻っていない例(世紀東急工業)

戻らなかった28回のうち、当ブログで記事にしている銘柄の実例を挙げます。 世紀東急工業(1898)の2026年3月期末配当です。

日付終値できごと
2026年3月27日1,580円権利付最終日(この日に買えば配当36円を受け取れる)
2026年3月30日1,517円権利落ち日。63円下落(配当36円の1.75倍)
2026年3月31日1,500円さらに下落
2026年9月11日1,473円114営業日経過。まだ1,580円に戻っていない

3月27日に100株買った人は、配当3,600円(税引前)を受け取りました。同じ時点で、株価の評価額は10,700円下がっています。 半年近く経っても、その差は埋まっていません。

この銘柄は年90円から71円へ減配しており、配当落ちだけが下落の理由ではありません。 ただし、権利付最終日に買った人にとって、下落の理由が何であるかは関係ありません。買った翌日から含み損が始まった事実は変わらないからです。

7. 逆に、翌日には戻る銘柄もある

全部が同じではありません。未来工業(7931)の2026年3月期末を見ます。

日付終値できごと
2026年3月17日3,210円権利付最終日(配当95円)
2026年3月18日3,240円権利落ち日なのに30円上昇

配当95円を出しながら、株価は下がりませんでした。買いたい人の勢いが、配当落ちの下げ幅を上回ったということです。

銘柄ごとの傾向も出ました。3年間で3回以上の配当落ちがあった銘柄について、回復日数の中央値を並べます。

戻るのが速い銘柄中央値戻るのが遅い銘柄中央値
未来工業(7931)1営業日ケル(6919)107営業日
メディキット(7749)2営業日早稲田学習研究会(5869)93営業日
船井総研HD(9757)3営業日日本製鉄(5401)89営業日
立川ブラインド工業(7989)4営業日三ツ星ベルト(5192)81営業日

この速い・遅いが何で決まるのかは、今回の調査ではわかりませんでした。 業績の安定度や規模で説明したくなりますが、それを裏づけるデータは取っていません。 言えるのは「同じ配当落ちでも銘柄によって回復の速さがまるで違う」という事実と、 これが60銘柄・3年という限られた範囲の結果だということです。同じ並びが次の3年も続く保証はありません。

8. 日経平均が97.2%上がった3年での数字です

この調査には、はっきりした偏りがあります。対象期間の日経平均は32,468円から64,011円へ、97.2%上がりました。 株価全体が2倍になる追い風のなかで、それでも回復に中央値24営業日かかったということです。

相場が横ばい、あるいは下落する局面では、回復日数はこれより長くなると考えられます。この記事の数字は楽観側の数字として読んでください。

⚠️ この調査の限界(3点)
  • 対象は当ブログが記事にした60銘柄です。高配当株に偏っており、市場全体の平均ではありません
  • 株価データはYahoo!ファイナンス由来です。株式分割の調整方法によっては、実際の売買価格とずれる場合があります
  • 「戻った」の判定は終値のみで行っています。日中の高値で一時的に回復したケースは数えていません

9. 9月28日までにやること、やらなくていいこと

2026年9月末の権利確定に向けた、具体的な行動です。

やらなくていいこと:利回りランキングを見て駆け込みで買う

権利付最終日が近づくと、配当狙いの買いで株価は上がりやすくなります。高く買って、翌日に下がる。最も不利な順番です。 次の権利確定日は3か月後か6か月後に必ず来ます。1回見送っても、失うのは1回分の配当だけです。 その1回分を取りに行って、戻るまで2か月かかる株を高値でつかむほうが高くつきます。

やること1:買いたい銘柄を、いま決めておく

見送るのは「買わない」ではありません。権利落ち後に落ち着いて買うために、銘柄を先に決めておきます。 選び方の手順は高配当株の探し方にまとめてあります。 利回りの高さだけで選ぶと、下落の結果として利回りが高く見えている会社を拾います。

やること2:配当の受取方法を確認する

NISA口座で配当を非課税で受け取るには、受取方法を株式数比例配分方式に設定しておく必要があります。 設定していないと、NISA口座なのに20.315%が引かれます。確認手順はこちらの記事にあります。 これは権利付最終日までに済ませておく作業です。

やること3:3つの日付を正確に把握する

権利付最終日・権利落ち日・権利確定日の関係は、2026年の権利付最終日カレンダーに一覧があります。 2026年9月は、権利付最終日が9月28日(月)、権利落ち日が9月29日(火)、権利確定日が9月30日(水)です。

まだ証券口座を持っていない場合は、口座開設に数日かかります。 SBI証券楽天証券の開設手順をそれぞれ記事にしています。 ただし、口座開設を急いで9月28日に間に合わせる必要はありません。ここまで見てきたとおり、急いで買う日ではないからです。

10. まとめ

📌 実測でわかったこと
  • 配当落ちから回復するまで中央値24営業日。9月末権利は38営業日
  • 57.8%は配当額より深く下がった。下落額÷配当額の中央値は1.11倍
  • 戻るまでの途中で、配当額の3.0倍(中央値)の含み損を見ることになる
  • 8.1%は3年経っても戻っていない
  • これは日経平均が97.2%上がった3年間の数字。悪い相場ではもっとかかる
  • 権利付最終日に買う理由は、実測データの中に見つからなかった

高配当株は、配当を受け取りながら持ち続ける投資です。 今月の配当に間に合わせることより、戻るまで2か月かかっても持っていられる会社を選ぶことのほうが、結果に効きます。

売るときの判断基準は高配当株を売るべき4つのサインにまとめています。あわせてご覧ください。

※本記事の数値は2026年9月11日時点のYahoo!ファイナンスのデータをもとに集計しました。対象は当ブログで個別記事を掲載した60銘柄、期間は2023年9月11日から2026年9月11日までの3年間、配当落ち344回です。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。 当ブログは投資助言業者ではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。 株価および配当は将来にわたって保証されるものではなく、減配・無配となる可能性があります。