2026年8月の人事院勧告で、国家公務員の月給は15,056円(3.51%)、ボーナスは年4.70月分(+0.05月)になりました。5年連続の引き上げです。 行政職の平均年収は739万円、前年からの増加額は26.6万円。そして直近3年を足すと、75.7万円増えています。
問題はここからです。その75.7万円は、いまどこにありますか。すぐに思い出せないなら、それは生活水準に吸収されています。この記事は、増えた分を配当に変えるための手順です。
- 2026年勧告の数字(月給・ボーナス・初任給)と、いつ手元に入るか
- 過去11年の推移でわかる「いまが例外的な時期」だということ
- 増えた26.6万円を高配当株に回したときの配当額(1年・3年・5年・10年)
- 地方公務員が確認すべき2点
- 12月のボーナスまでにやる3ステップ
1. 2026年の勧告は「月給3.51%・ボーナス4.70月」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 月給 | 民間との較差 15,056円(3.51%) を解消。行政職(一)の平均改定率3.3% |
| ボーナス | 年間 4.65月 → 4.70月(+0.05月) |
| 初任給 | 一律 9,500円 引き上げ(大卒総合職251,500円/大卒一般職241,500円/高卒209,800円) |
| 平均年収 | 739万円(+26.6万円・+3.7%) |
実施は令和8年4月にさかのぼります。つまり4月からの差額が、後からまとめて支払われます。 ボーナスの+0.05月分は6月の支給には間に合っていないので、12月の期末手当でまとめて調整されます。12月に「思ったより多い」となるのは、この差額が乗るためです。
※数字は人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」(令和8年8月)に基づきます。平均年収は行政職俸給表(一)の全体平均です。
2. 過去11年を並べると、いまが例外だと分かる
「毎年上がっているから今年も上がった」と受け取ると、判断を誤ります。同じ資料に載っている過去の推移を並べます。
| 年 | 月給の較差 | ボーナス | 平均年収の増減 |
|---|---|---|---|
| 平成30年 | +655円 | 4.45月 | +3.1万円 |
| 令和元年 | +387円 | 4.50月 | +2.7万円 |
| 令和2年 | ― | 4.45月 | ▲2.1万円 |
| 令和3年 | ― | 4.30月 | ▲6.2万円 |
| 令和4年 | +921円 | 4.40月 | +5.5万円 |
| 令和5年 | +3,869円 | 4.50月 | +10.5万円 |
| 令和6年 | +11,183円 | 4.60月 | +22.8万円 |
| 令和7年 | +15,014円 | 4.65月 | +26.3万円 |
| 令和8年 | +15,056円 | 4.70月 | +26.6万円 |
平成30年〜令和元年は年3万円未満でした。令和2年と3年はマイナスです。 年20万円を超える増加が3年続くのは、この11年で今回が初めてです。
人事院勧告は民間の賃上げを反映する仕組みです。民間の賃上げが止まれば、勧告も止まります。実際に令和3年は年6.2万円下がりました。
上がっている年に固定費を増やすと、下がった年に戻せません。家賃も車のローンもサブスクも、一度上げると下げるのに痛みが伴います。いま増えた分を投資に回しておくと、下がった年に効いてきます。
3. 増えた分を高配当株に回すと、いくらの配当になるか
年26.6万円を利回り4%の高配当株に積み立てた場合の配当額です。税引後は20.315%を引いています。
| 期間 | 元本 | 年間配当(税引前) | 税引後 |
|---|---|---|---|
| 1年 | 26.6万円 | 10,640円 | 8,478円 |
| 3年 | 79.8万円 | 31,920円 | 25,435円 |
| 5年 | 133.0万円 | 53,200円 | 42,392円 |
| 10年 | 266.0万円 | 106,400円 | 84,785円 |
10年で年10万円の配当になります。元手は「増えた分」だけで、いまの生活費には1円も手を付けていません。
NISAで持つかどうかで、年2万円変わる
NISA口座の配当は非課税です。10年目で比べると、課税口座の手取りは84,785円、NISAなら106,400円。差は年21,615円です。 NISAで買っても、受取方法が「株式数比例配分方式」になっていないと配当に税金がかかります。設定はNISAの配当受け取り方式の記事で確認してください。
株価が下がれば元本は減ります。減配もあります。上の試算は「利回り4%が続いたら」という仮定の計算です。 銘柄の見極め方は高配当株を買う前に見る5つの数字に、金利が上がったいま何と比べるべきかは金利1%時代の高配当株にまとめています。
4. 地方公務員が確認すべき2点
① 自治体の勧告は、国とは別物です
人事院勧告の対象は国家公務員です。地方公務員の給与は、各自治体の人事委員会勧告(人事委員会を置かない市町村は国や都道府県に準じる形)で決まります。 国に準拠する自治体が多いものの、金額も実施時期も同じとは限りません。この記事の数字をそのまま自分の給与に当てはめず、給与明細と組合の資料で確認してください。
② 副業禁止でも、株式投資はできます
株式投資は資産運用であって副業ではありません。ただし職務上知り得た未公表情報にもとづく取引はできません。 守るべき線引きは公務員の株式投資ルールに整理しています。
5. 12月のボーナスまでにやる3ステップ
-
入る金額を先に確認する
4月にさかのぼる差額と、12月の+0.05月分です。金額を知らないまま入金されると、使ってしまいます。給与明細か人事担当に確認してください。 -
積立額を「増えた分だけ」上げる
年26.6万円は手取りでおよそ月17,000円です(手取り率78%で計算)。この額だけ積立を増やします。生活費は今のままで足ります。 -
NISAの枠から埋める
同じ銘柄でも、課税口座とNISAで手取りが変わります。枠が余っているなら、そちらを先に使います。
月17,000円という金額は、月3万円から始めるポートフォリオの考え方がそのまま使えます。年間の配分は年間投資計画の立て方を参考にしてください。
※証券会社の口座開設は無料です
増えた分を置く場所を、先に用意しておく
12月に差額が入ってから口座を作ると、間に合わないことがあります。
口座ごとの手数料や取扱商品の違いは証券口座の比較記事にまとめました。
よくある質問
Q. 人事院勧告は必ず実施されますか?
勧告は国会と内閣に対する「勧告」であり、給与法の改正を経て実施されます。ここ10年は勧告どおり実施されていますが、法改正が必要なため確定ではありません。実施時期や金額は所属先の通知で確認してください。
Q. 増えた分は、iDeCoとNISAのどちらに入れるべきですか?
用途が違います。iDeCoは掛金が全額所得控除になる代わりに、原則60歳まで引き出せません。NISAはいつでも引き出せますが所得控除はありません。当面使う予定がないならiDeCo、教育費など途中で使う可能性があるならNISAが向きます。2026年12月からは公務員のiDeCo上限が月2万円から6.2万円に上がります(iDeCo改正の記事)。
Q. ボーナスの+0.05月分は、金額にするといくらですか?
月給の5%にあたる額です。行政職の平均月額443,507円で計算すると約22,000円になります。ただし実際の支給額は俸給月額や手当によって変わるため、目安として見てください。
Q. 給与が上がったのに、生活が楽になった実感がありません
物価上昇が並行しているためです。人事院勧告は民間の賃上げに合わせる仕組みで、物価上昇分を補償するものではありません。だからこそ、増えた分をそのまま生活費に流すと手元に何も残らず、上がった実感も生まれにくくなります。
まとめ
- 2026年の勧告は月給+15,056円(3.51%)、ボーナス年4.70月分、平均年収739万円(+26.6万円)
- 実施は4月にさかのぼり、ボーナスの+0.05月分は12月の期末手当で調整される
- 直近3年の増加額は合計75.7万円。年20万円超が3年続くのは11年で初めて
- 令和2年・3年はマイナスだった。上がり続ける保証はない
- 増えた分だけを利回り4%に回せば、10年で年10万円の配当。生活費は削らない
- 地方公務員は自治体の人事委員会勧告を確認する
給与が上がったこと自体は、素直に良い知らせです。ただ、上がった年に何をしたかで、下がった年の景色が変わります。 75.7万円がどこへ消えたか思い出せなかった方は、今年の分から置き場所を決めてみてください。
【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を推奨するものではありません。給与に関する数字は人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」(令和8年8月)に基づく参考値で、勧告は給与法の改正を経て実施されます。地方公務員の給与は各自治体の人事委員会勧告等により決まるため、本記事の数字が当てはまるとは限りません。配当の試算は利回り4%が継続した場合の仮定計算であり、将来の配当を保証するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがあります。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。当ブログは投資助言業者ではありません。
