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2026年12月から、公務員のiDeCoの上限が、月2万円から月5.4万円に上がります。枠が増えると、NISAとどちらを先にするかで迷います。 結論は3つです。迷ったらNISAが先です。ただし、60歳まで使わないお金で、課税所得が195万円を超える人は、iDeCoの節税が効きます。 そしてiDeCoでは、高配当株は買えません。
- 状況別に、先にやるものが分かる判定表
- iDeCoとNISAの5つの違い(引き出し・税金・商品・手数料・上限)
- 月5.4万円を満額にしたときの節税額(税率別)
- 公務員の上限が5.4万円になる理由と、掛金のルール
- 順番の決め方と、受け取るときの注意点
まず結論:あなたの状況別、先にやるもの
| あなたの状況 | 先にやるもの | 理由 |
|---|---|---|
| 生活防衛資金(急な出費や収入減に備える、すぐ使える貯金)が、まだ決まっていない | 生活防衛資金(共済貯金か銀行預金) | 値動きのないお金を先に決める。投資に回すのはその後 |
| 60歳より前に使う可能性のあるお金 | NISA | iDeCoは原則60歳まで引き出せない。NISAは売却の注文をいつでも出せる |
| 高配当株の配当金を、受け取りたい | NISA(成長投資枠) | iDeCoでは個別株を買えない |
| 60歳まで使わないお金で、課税所得が195万円を超える | NISAに加えて、iDeCo | 掛金が全額所得控除。所得税率が10%以上なら、節税額が大きくなる |
| 課税所得が195万円以下 | NISA | 所得税率が5%で、iDeCoの節税額は小さめ(3章の表) |
※iDeCo公式サイト・国税庁・金融庁の公式ページで確認しました(2026年10月21日)。「生活防衛資金」の考え方は、共済貯金とNISAの記事の目安を使っています。
1. iDeCoとNISAの5つの違い
| 項目 | iDeCo | NISA |
|---|---|---|
| 引き出し | 原則60歳から(通算加入者等期間が10年以上)。それまで引き出せない | 売却の注文をいつでも出せる |
| 税金 | 掛金が全額所得控除。運用中の利益は非課税。受け取るときに税がかかる(一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除) | 配当・売却益が非課税。掛金(購入額)の所得控除はない |
| 買える商品 | 預貯金・保険・投資信託。個別株は買えない | 投資信託のほか、成長投資枠で個別株も買える |
| 手数料 | 加入時2,829円。掛金を納めるたびに105円(国民年金基金連合会)。運営管理機関の手数料は別 | 口座の開設・維持は無料の証券会社が多い(会社ごとに確認) |
| 上限 | 公務員は月5.4万円(年64.8万円)。2026年12月から | 年360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)。生涯1,800万円 |
※iDeCoの手数料はiDeCo公式サイトの「加入手続きについて」、NISAの上限は金融庁の公式ページによります。NISAの手数料は、証券会社ごとに異なります。
iDeCoの満額(年64.8万円)は、NISAの年間枠360万円の18%です。つまり、「枠の大きさ」でiDeCoとNISAを争わせる必要はありません。 選ぶ基準は、そのお金をいつ使うかと、所得控除の効き目です。
2. 公務員の上限が「5.4万円」になる理由と、掛金のルール
2026年12月から、企業年金等に加入している人のiDeCoの上限は、月6.2万円(他の制度の掛金との合算)に一本化されます。 公務員は、年金払い退職給付(共済)の掛金相当額として8,000円が差し引かれ、iDeCoの上限は6.2万円−8,000円=月5.4万円です(厚生労働省の資料・楽天証券の改正の案内)。 現行は月2万円なので、2.7倍になります。詳しくはiDeCoの上限改正と満額の考え方で確認できます。
掛金のルールは、次のとおりです(iDeCo公式サイト)。
- 毎月の掛金は、5,000円以上、1,000円単位で決める
- 掛金の額は、1年に1回だけ変えられる。いつでも、掛金を止めることはできる
- 公務員は、年間の掛金を月ごとに割り振る「月別指定(年単位)拠出」を選べない
掛金を後から減らす決断は、先延ばしになりがちです。上限の5.4万円は「出してよい額」であって、出すべき額ではありません。 最初は、無理のない額で始めて、1年に1回、見直す形が現実的です。
3. 月5.4万円を満額にすると、節税額はいくらか
掛金は、全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象です(国税庁 No.1135)。節税額は、掛金×(所得税率+住民税率10%)で計算します。 月5.4万円の満額は、年64.8万円です。
| 課税所得の目安 | 所得税率 | 所得税+住民税 | 年64.8万円の節税額 |
|---|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 15% | 9.72万円 |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 20% | 12.96万円 |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 30% | 19.44万円 |
※所得税率は国税庁 No.2260(令和8年4月1日現在)。復興特別所得税は含めない単純計算です。課税所得は、年収から給与所得控除や各種の所得控除を引いたあとの金額で、年収そのものではありません。
節税額が、掛金の15〜30%になる、という見方です。ただし、節税できるのは「掛金を出した年」だけです。 出した掛金は、60歳まで動かせません。節税額が大きくても、60歳より前に使うお金を、iDeCoに入れてはいけません。
iDeCoの運用商品は、預貯金・保険・投資信託です。個別株は買えません。配当金を受け取って、生活に使う投資は、NISAや特定口座で行います。 iDeCoは、60歳まで待つお金の置き場所です。両方を、役割の違う箱として使い分けます。
4. 順番の決め方:3つの質問
迷ったときは、次の順番で自分に聞いてください。
- 生活防衛資金は、決まっているか。 目安は、月の支出の3〜6か月分です(一般的に使われる目安で、制度で決まった数字ではありません)。決まっていなければ、先に共済貯金か銀行預金で用意します。
- そのお金は、60歳より前に使う可能性があるか。 ある(住宅の頭金・教育費など)なら、NISAです。iDeCoには入れません。
- 60歳まで使わないお金は、いくらあるか。 課税所得が195万円を超えるなら、その一部をiDeCoに回すと、3章の表の分だけ税金が減ります。月5.4万円の満額に、こだわる必要はありません。
NISAの枠(年360万円)が余っているのに、iDeCoを満額にする必要はありません。 逆に、毎年のNISA枠を使い切っていて、60歳まで使わないお金が、さらに残るなら、iDeCoの出番です。
口座をまだ作っていない人は、公務員のボーナスでNISAを始めるから読むと、最初の1回が分かります。 口座を作るときの勤務先の入力は、職業・勤務先欄の記事にまとめました。
5. 受け取るときの注意点(60歳以降)
iDeCoは、60歳以降に、年金か一時金で受け取ります(iDeCo公式サイト・国税庁)。
| 受け取り方 | かかる税金の控除 | ポイント |
|---|---|---|
| 一時金 | 退職所得控除 | 退職金と同じ「退職所得」として扱われる。75歳までに請求 |
| 年金 | 公的年金等控除 | 5年以上20年以下の有期年金。ほかの公的年金と合わせて計算される |
退職所得控除は、勤続年数が20年以下なら40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)、20年を超えると800万円+70万円×(勤続年数−20年)です(国税庁 No.1420)。
退職手当とiDeCoの一時金を近い年に受け取ると、勤続期間(iDeCoは加入期間)が重なった分だけ、あとから受け取る側の退職所得控除が減ります。 公務員は、退職手当を受け取る時期が、iDeCoの一時金と重なりやすいので、受け取りの前に、運営管理機関と税務署に確認してください。
重複が調べられる期間
| 受け取る順番 | 重複を調べる範囲 |
|---|---|
| iDeCo一時金 → 退職手当 | 退職手当を受ける年の前年以前9年内にiDeCo一時金を受けている場合。2026年1月以降に受けた一時金が対象で、それ以前に受けた分は従来の4年内 |
| 退職手当 → iDeCo一時金 | iDeCo一時金を受ける年の前年以前19年内に退職手当を受けている場合 |
控除の計算方法
あとから受け取る側の控除額は、(今回の勤続年数で計算した控除額)-(重複した期間を勤続年数とみなして計算した控除額)です。重複期間の1年未満は切り捨てます。 前に受け取った額が、その分の控除額に満たないときは、前の期間を「前の受取額÷40万円(切り捨て)」年に短縮して重複を数えます。計算した控除額が80万円に満たない場合は80万円です(国税庁「退職所得の源泉徴収事務」)。
例1:iDeCoが先、退職手当が後(5年差)
iDeCoに20年加入して2026年に一時金700万円を受け取り、2031年に勤続43年(22〜65歳)で退職手当2,200万円を受け取る例です。
| 項目 | 重複あり(5年差) | 9年を超えて空けた場合 |
|---|---|---|
| 勤続43年の退職所得控除 | 2,410万円 | 2,410万円 |
| 差し引く額(一時金700万円÷40万円=17年分) | -680万円 | なし |
| 退職手当の控除額 | 1,730万円 | 2,410万円 |
| 退職手当2,200万円の課税退職所得(差額×1/2) | 235万円 | 0円 |
例2:退職手当が先、iDeCoが後(10年差)
勤続38年(22〜60歳)で2026年に退職手当2,200万円を受け取り、2036年にiDeCoの一時金700万円(加入20年、40〜60歳)を受け取る例です。退職手当は、その控除額2,060万円より大きいので、期間の短縮はありません。加入期間の20年は、すべて重複します。
| 項目 | 重複あり(10年差) | 19年を超えて空けた場合 |
|---|---|---|
| 加入20年の退職所得控除 | 800万円 | 800万円 |
| 差し引く額(重複20年分) | -800万円 | なし |
| iDeCoの控除額 | 0円(最低の80万円) | 800万円 |
| 一時金700万円の課税退職所得(差額×1/2) | 310万円 | 0円 |
上の2つの例は、国税庁の計算方法に当てはめた当ブログの試算です。実際は、企業型の加入期間との重複の扱いなど、個別の事情で変わります。9年内の規定は、令和7年度税制改正の大綱(2024年12月27日閣議決定)の原文と、国税庁の申告書の記載要領で確認しました。2026年1月1日以後に老齢一時金を受け、同日以後に支払を受ける退職手当等から適用されます。改正後の政令(所得税法施行令)の条文そのものは確認していません。
また、60歳から受け取るには、60歳までの通算加入者等期間が10年以上必要です。10年に満たない場合は、受け取れる年齢が繰り下がります(8年以上10年未満なら61歳など)。 上限が上がる今、50歳を過ぎて始める人は、この条件を確認してください。
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よくある質問
Q. 公務員のiDeCoの上限はいくらですか?
2026年12月から月5.4万円です。企業年金等と共通の月6.2万円から、公務員の年金払い退職給付(共済)の掛金相当額8,000円を引いた額です。現行は月2万円です。
Q. iDeCoとNISAは、どちらを先にやるべきですか?
迷ったら、NISAが先です。NISAは売却の注文をいつでも出せて、個別株も買えます。iDeCoは原則60歳まで引き出せません。ただし、60歳まで使わないお金で、課税所得が195万円を超える人は、iDeCoの節税が効きます。両方を使う人もいます。
Q. iDeCoで高配当株は買えますか?
買えません。iDeCoの運用商品は、預貯金・保険・投資信託です。個別株の配当金を受け取る投資は、NISAや特定口座で行います。
Q. iDeCoは、いつ受け取れますか?
原則60歳からです。60歳までの通算加入者等期間が10年以上必要で、10年に満たない場合は受け取れる年齢が繰り下がります。受け取りは、年金か一時金を選べて、75歳までに請求します。
まとめ
- 公務員のiDeCo上限は、2026年12月から月5.4万円(6.2万円−共済の掛金相当額8,000円)
- 迷ったらNISAが先。60歳より前に使う可能性のあるお金は、iDeCoに入れない
- iDeCoは個別株を買えない。配当金を使う投資は、NISAや特定口座
- 節税額は、掛金の15〜30%(課税所得195万円以下は15%、195万円超は20%以上)。満額にこだわらない
- 受け取りは60歳以降。退職手当と近い時期に受け取ると、控除が小さくなることがある
今日やるのは、自分の課税所得を、確定申告書や給与明細などで確認して、3章の表のどの行に当たるかを知ることです。 それが分かれば、iDeCoに回す額を、決められます。
【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。iDeCoの制度・手数料・受け取りの条件はiDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)、2026年12月からの上限は厚生労働省と楽天証券の案内、税率・所得控除・退職所得控除は国税庁、NISAの上限は金融庁の公式ページ(いずれも2026年10月21日確認)に基づきます。2026年12月の制度改正は施行前の情報で、変更される場合があります。運営管理機関ごとの手数料・商品は異なります。節税額は、所得税と住民税の税率が10%・復興特別所得税を含めない単純計算で、実際の額は、所得や控除の状況によって異なります。退職所得控除の重複の扱いなど、個別の税務上の取り扱いは、税務署または税理士にご相談ください。株式投資・投資信託には元本割れのリスクがあります。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。当ブログは投資助言業者ではありません。
