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年表の出来事に金額を入れるときは、数字の出どころを3つに分けます。自分の資料で確定できるもの、公的統計で目安を置くもの、平均が当てにならないもの、の3つです。 この記事では、教育費・介護・退職手当に公的データの数字を入れ、車や住宅は自分の記録で出す方法を書きます。第1回で作った年表を、手元に置いて読んでください。
- 金額の出どころを3つに分ける考え方
- 教育費(幼稚園から大学まで)の公的データと、計算例
- 介護費用と、国家公務員の退職手当の実績
- 車と住宅の金額を、自分の記録から出す方法
まず結論:出来事ごとの、金額の出し方
| 出来事 | 金額の出どころ | 使う資料 |
|---|---|---|
| 住宅ローン・退職手当・年金 | 自分の資料で確定できる | 返済予定表、人事課の試算、ねんきん定期便 |
| 教育費・介護 | 公的統計で目安を置く | 文部科学省、生命保険文化センターの調査 |
| 車・住宅の修繕 | 自分の記録で出す | 過去の購入価格と乗った年数、修繕の見積 |
※数字は、2026年10月27日に各資料の原本で確認しました。平均値は目安で、ご自身の数字ではありません。
1. 金額は「確定・目安・自分の記録」の3つに分ける
年表の「お金の動き」の列に、すべて同じ確かさの数字を入れると、足りなくなる年を読み違えます。確定できる数字と、目安の数字は、色を変えて書き分けます。
- 確定できるもの:返済予定表のある住宅ローン、人事課が出す退職手当の試算。黒で書く。
- 公的統計で目安を置くもの:教育費と介護。出典と年度を、欄外に書く。青で書く。
- 自分の記録で出すもの:車と住宅の修繕。平均額は載せず、過去の実績から計算する。緑で書く。
平均値を入れてよいのは、2つ目だけです。平均には、あなたの家庭の事情が入っていません。年表には「平均で置いた」と分かる形で残します。
2. 教育費:幼稚園から高校までは15年間で約614万円〜1,969万円
文部科学省の「子供の学習費調査」は、保護者が1年間に支出した学校教育費・給食費・学校外活動費(塾や習い事)の合計です。幼稚園3歳から高校3年までの15年間を、公立・私立の組み合わせで並べると、次のとおりです。
| 通い方 | 15年間の学習費総額 |
|---|---|
| すべて公立 | 約614万円 |
| 幼稚園だけ私立 | 約665万円 |
| 幼稚園と高校が私立 | 約838万円 |
| すべて私立 | 約1,969万円 |
※文部科学省「子供の学習費調査」令和5年度(2023年度)分。2026年1月16日の訂正後の数字です(訂正の公表資料、確定値は政府統計の総合窓口e-Statに掲載)。学校外活動費(塾・習い事)を含みます。
この調査は、2026年1月に訂正が公表されました。令和5年度分では、公立小学校・私立小学校・公立中学校・公立高校・私立高校の金額が変わっています。訂正前の数字を載せた記事では、金額がずれている可能性があります。
大学は「学費だけ」を、公的資料で出す
大学は、国立と私立で金額が大きく違います。授業料・入学料・施設設備費だけを、4年分で計算しました。
| 区分 | 1年目 | 2年目以降(年) | 4年間の合計 |
|---|---|---|---|
| 国立大学(標準額) | 81.8万円 | 53.6万円 | 約242.5万円 |
| 私立大学・文科系(平均) | 121.2万円 | 99.2万円 | 約418.9万円 |
| 私立大学・理科系(平均) | 160.2万円 | 135.7万円 | 約567.2万円 |
※国立は「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」の標準額(授業料 年53万5,800円、入学料 28万2,000円。e-Gov法令検索)。各大学は標準額の120%まで上乗せできます。私立は文部科学省の令和7年度入学者の平均(初年度学生納付金等の調査)で、授業料・入学料・施設設備費の合計です。実験実習料などは含みません。医歯系は6年制で金額が大きく違うため、除いています。
自宅外から通う場合は、ここに仕送りが加わります。学費と仕送りは、別の行にして年表に入れます。
計算例:2人の子で、教育費の総額を出す
第1回の例(子Aは中学2年、子Bは小学4年)で、子Aは国立大学、子Bは私立の文科系に進む場合を計算します。幼稚園から高校までは、2人ともすべて公立とします。
- 幼稚園〜高校(すべて公立):614万円 × 2人 = 1,228万円
- 大学(子A 国立 242.5万円 + 子B 私立文科系 418.9万円):約661.4万円
- 合計:約1,889万円
大学の年ごとの学費は、次のように年表に入ります。入学の年に、入学料の分だけ大きくなります。
| 年 | 出来事 | 大学の学費 |
|---|---|---|
| 2031年 | 子Aが国立大学に入学 | 81.8万円 |
| 2032〜2034年 | 子Aが在学 | 各53.6万円 |
| 2035年 | 子Bが私立文科系に入学 | 121.2万円 |
| 2036〜2038年 | 子Bが在学 | 各99.2万円 |
この表は、学費だけです。幼稚園から高校までの614万円は、15年に分けた平均で、年表では年あたり約41万円(614万円 ÷ 15年)として置けます。
3. 介護:一時費用47.2万円と、月9.0万円が目安
親の介護は、いつ始まるかが分かりません。それでも、年表に「親が80歳になる年」を書いておくと、そこから費用が動く可能性を置けます。生命保険文化センターの調査では、介護を経験した世帯の費用は次のとおりです。
| 項目 | 平均 |
|---|---|
| 一時的な費用(住宅改造・介護用ベッドの購入など) | 47.2万円 |
| 月々の費用 | 9.0万円(在宅5.3万円、施設13.8万円) |
| 介護期間 | 55.0か月(4年7か月) |
※生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2人以上世帯)」2024年度。過去3年間に介護経験がある人が対象で、公的介護保険サービスの自己負担費用を含みます(原ページ)。
平均で置くと、47.2万円 + 9.0万円 × 55か月 = 約542万円です。在宅の月5.3万円なら約339万円、施設の月13.8万円なら約806万円になります。在宅と施設で介護期間が同じ55か月だったと置いた、目安の計算です。
⚠️ 平均のほかに、施設で置いた行を書く
月々の費用は、在宅の平均が5.3万円、施設の平均が13.8万円です。年表には、平均(月9.0万円)で置いた行と、施設(月13.8万円)で置いた行の2つを書きます。足りなくなる年の幅が見えます。
4. 退職手当:国家公務員の定年退職は、平均約2,147万円
退職手当は、人事課の試算が出れば確定できます。試算が手元にない段階では、内閣人事局が公表している実績が、目安になります。令和5年度に定年で退職した国家公務員は、次のとおりです。
| 定年退職の区分 | 人数 | 平均支給額 |
|---|---|---|
| 常勤職員の全体 | 7,835人 | 2,147万円 |
| 行政職俸給表(一)の適用者 | 1,473人 | 2,122万円 |
| 勤続30〜34年 | 2,506人 | 2,002万円 |
| 勤続35〜39年 | 2,310人 | 2,389万円 |
| 勤続40年以上 | 2,280人 | 2,312万円 |
※内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」令和5年度(令和6年12月公表。原本のPDF)。国家公務員退職手当法の適用を受けて令和5年度中に退職した人の実績で、税金を引く前の額です。
地方公務員は、自治体の条例で額が決まります。この表は、国家公務員の数字です。所属先の人事課で試算を取り、取れたら確定の数字(黒)で置き換えてください。
手取りの計算例:勤続35年、退職手当2,100万円
退職手当にかかる税金は、退職所得控除で小さくなります。勤続20年を超える場合の控除は「800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)」です。
- 退職所得控除:800万円 + 70万円 ×(35 − 20)= 1,850万円
- 課税退職所得:(2,100万円 − 1,850万円)÷ 2 = 125万円
- 所得税(復興特別所得税を含む):125万円 × 5% × 1.021 = 約6.38万円
- 住民税:125万円 × 10% = 12.5万円
- 税金の合計は約18.9万円。手取りは約2,081万円
※計算例です。退職手当2,100万円・勤続35年は説明用の数字で、正確な税額は人事課の試算で確認してください。退職所得控除と課税退職所得の計算は、国税庁タックスアンサーNo.1420(令和8年4月1日現在法令等)に基づきます。所得税は税率5%(課税所得195万円以下)に復興特別所得税2.1%、住民税は10%で計算しました。iDeCoの一括受取など、複数の退職所得がある場合は控除の調整が入ります(第5回で書きます)。
5. 車と住宅の修繕:平均ではなく、自分の記録で出す
車の買い替えや住宅の修繕は、平均額を載せません。車種・築年数・地域で差が大きく、平均を入れるとあなたの数字からずれるためです。次の式で、自分の記録から出します。
| 出来事 | 出し方 | 数字の取り方 |
|---|---|---|
| 車の買い替え | 購入価格 ÷ 乗った年数 = 1年あたりの費用 | 今の車と、1台前の車の購入価格と乗った年数 |
| 住宅ローン | 返済予定表の毎年の返済額と完済年を、そのまま入れる | 金融機関の返済予定表 |
| 大規模修繕・リフォーム | 見積の金額を、実施予定の年に入れる | マンションは管理組合の長期修繕計画書、戸建は施工会社の見積 |
例えば、300万円で買った車に10年乗ったなら、1年あたり30万円です(計算例)。次の買い替えを、今の車に乗り続けた年数の後に入れて、金額は同じ30万円 × 年数で置きます。
6. 金額を、ライフプランのソフトに入れる
第3回以降で使うシミュレーションソフトFinancial Teacher 10には、退職金・企業年金を入れる画面があります。受け取る年齢と金額、勤続年数を入れると、税金などを引いた手取りを計算してくれます(天引き前の額を入れる場合)。 教育費や資産運用の入力も、同じソフトでできます。入力画面の使い方は、画面の図つきで第3回に書きます。
紙の年表の段階で、黒(確定)・青(目安)・緑(自分の記録)の3色に分けておくと、ソフトに入れるときに、どの数字を後で直すかが分かります。
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次回までの宿題と、全5回の予定
宿題は、第1回の年表の「お金の動き」の列に、金額を入れることです。確定できる数字は黒、公的統計で置いた数字は青、自分の記録から出した数字は緑で書きます。
| 回 | 内容 |
|---|---|
| ① 公開済み | 年表1枚で、お金が必要になる年を決める |
| ② 今回 | 出来事ごとの必要額と時期(教育・介護・退職・車・住宅) |
| ③ 公開済み | 使う時期で、お金の置き場所を分ける(現預金・NISA・iDeCo) |
| ④ 公開済み | 必要額から月々の積立額を逆算して、来年度の投資計画に入れる |
| ⑤ 公開済み | 取り崩し計画(NISA・iDeCo・退職手当) |
よくある質問
Q. 教育費の数字は、何年度のものですか?
幼稚園から高校までは、文部科学省「子供の学習費調査」の令和5年度(2023年度)分で、2026年1月16日の訂正後の数字です。私立大学の学費は令和7年度(2025年度)入学者の平均、国立大学は国の省令で決まる標準額を使っています。
Q. 地方公務員の退職手当も、国家公務員と同じ額ですか?
同じとは限りません。この記事の退職手当の数字は、国家公務員の令和5年度の実績です。地方公務員は自治体の条例で決まるため、所属先の人事課で退職手当の試算を取ってください。
Q. 自宅外から大学に通う場合の仕送りは、どこに入れますか?
学費とは別の行にして、年表に「仕送り」と書いて入れます。金額は、日本学生支援機構の「学生生活調査」で目安を確認できます。この記事では、学費だけを計算しています。
Q. 介護費用の平均より、実際に多くかかったらどうしますか?
年表には、平均で置いた行と、施設で置いた行の2つを書きます。月々の費用は、在宅の平均が5.3万円、施設の平均が13.8万円と、2.6倍ほど違います。2つの行を並べると、足りなくなる年の幅が見えます。
まとめ
- 金額は確定・目安・自分の記録の3つに分けて、年表に色分けして入れる
- 幼稚園から高校までは、15年間で約614万円(すべて公立)〜1,969万円(すべて私立)(令和5年度・訂正後)
- 大学の学費は、4年間で国立約242.5万円、私立文科系約418.9万円、私立理科系約567.2万円
- 介護は、平均で約542万円(一時47.2万円+月9.0万円×55か月)。多い場合を、もう1行書く
- 国家公務員の定年退職は、平均約2,147万円。人事課の試算が出たら置き換える
- 車と住宅の修繕は、平均額を使わず、自分の購入価格・見積で出す
今日やるのは、年表の中で、いちばん金額の大きい出来事を1つ選び、その数字を出すところまでです。大学の入学年か、退職の年が、多くの家庭で最初の山です。
【免責事項】本記事は情報提供のみを目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。年表と計算例(家族構成・進路・退職手当2,100万円・勤続35年・車300万円)は、説明のための架空の例です。教育費は文部科学省「子供の学習費調査」令和5年度(2026年1月16日訂正後)と令和7年度の私立大学入学者に係る初年度学生納付金等調査、国立大学は国の省令の標準額、介護費用は生命保険文化センター2024年度の調査、退職手当は内閣人事局の令和5年度の実績に基づきます(いずれも2026年10月27日確認)。平均値は目安で、ご自身の金額とは異なります。地方公務員の退職手当、実際の税額、学費の改定は、所属先・自治体・各大学の資料でご確認ください。制度や統計は改正・訂正される場合があります。紹介したソフトの利用条件は、提供元の案内をご確認ください。株式投資には元本割れのリスクがあります。個別の資産設計については、必要に応じてファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。当ブログは投資助言業者ではありません。
