高配当株を3年持ったら、いくら増えたのか|
60銘柄の成績を決めたのは配当ではありませんでした

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高配当株を3年持つと、いくら増えるのか。配当を1円残らず足したうえで実測しました

当ブログで個別記事を書いた高配当株60銘柄について、2023年9月11日から2026年9月11日までの株価と配当を集計しています。 結果から先に書きます。

成績を決めたのは、配当ではありませんでした。 配当でついた差は2.6ポイント。株価でついた差は78.7ポイント。30倍の開きがあります。

📌 この記事でわかること
  • 100万円を3年前に入れていたら、利回りの帯ごとに今いくらか
  • 配当でつく差は2.6pt、株価でつく差は78.7ptという実測
  • 値下がりを配当が埋めた会社は11社中6社。埋めきれなかった5社
  • 同じ帯の中でも結果はばらばら(利回り5%以上でも−16.7%〜+68.4%)
  • この3年の数字を鵜呑みにしてはいけない理由

1. 100万円が、利回り5%以上なら97万円・3%未満なら175万円になった

60銘柄を、今の配当利回りで4つの帯に分けました。 それぞれ「3年前に100万円を入れて、配当を受け取りながら今日まで持ち続けたら」いくらになったかを中央値で計算した表です。

今の配当利回り社数値上がり3年の
配当合計
合計
(トータル)
100万円が
いくらに
(まん中の1社)
帯の全社に
等分したら
5%以上6社−16.3%+14.2%−2.6%973,968円1,109,070円
4〜5%23社+12.6%+13.9%+26.3%1,262,582円1,323,702円
3〜4%23社+25.9%+13.2%+38.6%1,386,395円1,494,438円
3%未満8社+62.4%+11.6%+74.9%1,749,314円1,999,569円
⚠️ この表は「帯の中央値」です

「100万円がいくらに」の列は各帯のまん中の1社を引いたときの結果(中央値)です。 その帯の会社すべてに分散した場合の成績ではありません。右端が帯の全社に等分したとき(平均)で、 どの帯でも等分のほうが成績は上になります。1銘柄に賭けるより、分散したほうが結果は安定しました。 中央値を主役にしたのは「1社だけ買ったときのありがちな結果」を示すためで、 実際に投資する人の成績に近いのは右端の列です。理由は4章で説明します。

上と下の差は775,346円です。同じ100万円、同じ3年間、同じ高配当株というくくりの中でこれだけ開きました。

利回りがいちばん高い帯だけが、配当を全部足してもマイナスで終わっています。 いちばん低い帯は、8社とも大きくプラスでした。

なお60銘柄をまとめた場合のトータルリターンは中央値で+38.1%、マイナスで終わったのは5社です。 高配当株全体が悪かったわけではありません。帯によって結果が割れています。

2. 配当でつく差は2.6pt、株価でつく差は78.7pt

なぜこれほど差がついたのか。表の真ん中の2列だけを取り出すと、理由が一目でわかります。

3年の配当合計値上がり
5%以上+14.2%−16.3%
4〜5%+13.9%+12.6%
3〜4%+13.2%+25.9%
3%未満+11.6%+62.4%
帯の間の差2.6pt78.7pt
📌 「ポイント(pt)」とは

いちばん良い帯といちばん悪い帯の開きのことです。パーセント同士を引き算した差なので、 %ではなく「ポイント」と呼びます。配当は14.2 − 11.6 = 2.6ポイント、 値上がりは62.4 −(−16.3)= 78.7ポイント。 つまりどの帯を選んでも配当でもらえた額はほとんど変わらず、株価の動きだけが大きく開いたということです。

配当の列は、どの帯でも11.6%〜14.2%の範囲に収まっています。利回り5%の会社も利回り3%の会社も、 3年でもらえた配当は元本の1割強でほとんど変わりませんでした。

ここは直感に反するところなので、理由を書きます。表の「今の利回り」は今の株価で計算した数字です。 3年前に買った人にとっての利回りではありません。株価が下がれば今の利回りは上がりますが、 受け取った配当の額そのものが増えるわけではないのです。

⚠️ 利回りランキングの上位は「過去の成績」を表していない

画面に出る利回りは、今の株価で割った数字です。株価が下がるほど上位に来ます。 この3年で実際に受け取れた配当の合計は、上位も下位もほぼ同じでした。 利回りの高さは、これから受け取る配当の多さを約束しません。

3. 配当は値下がりのクッションになる。ただし万能ではない

配当には値下がりを埋める働きがあります。実際に何社を救ったのかを数えました。

3年で株価が下がった会社社数
株価がマイナスだった会社11社
配当を足したらプラスに転じた6社
配当を足してもマイナスのまま5社

株価が下がった11社のうち6社は配当が埋めました。ここは高配当株の強みです。 値上がりを狙う株なら、下がったらそのまま損失になります。

ただし残る5社は埋めきれませんでした。理由は単純で、3年の配当合計は、60社の実測で元本の8.9〜21.3%(中央値13.4%)しかないからです。 それを超えて株価が下がれば、配当では届きません。

埋めきれなかった5社値上がり3年の配当合計
ジャックス(8584)−28.4%+11.7%−16.7%
ケル(6919)−27.3%+13.1%−14.2%
ニホンフラッシュ(7820)−22.5%+12.0%−10.5%
船井総研ホールディングス(9757)−14.9%+8.9%−6.0%
三ツ星ベルト(5192)−14.3%+12.7%−1.6%

目安は「3年で元本の1割強」(60社の中央値13.4%)です。これを超える下落には、配当は追いつきません。 株価が2割下がったら、配当3年分では戻らないということです。

4. 同じ帯の中でも、結果はばらばらだった

ここまで中央値で見てきましたが、帯の中の個別の会社は大きくばらついています。 利回り5%以上の6社を、成績順に全部並べます。

利回り5%以上の6社値上がり3年の配当合計
TOA(6809)+53.2%+15.2%+68.4%
ジャフコ グループ(8595)+17.8%+15.3%+33.1%
グランディハウス(8999)−10.1%+15.5%+5.3%
ニホンフラッシュ(7820)−22.5%+12.0%−10.5%
ケル(6919)−27.3%+13.1%−14.2%
ジャックス(8584)−28.4%+11.7%−16.7%
📌 なぜ「中央値」と「平均」でこんなに違うのか

この6社の合計成績を小さい順に並べると −16.7 / −14.2 / −10.5 / +5.3 / +33.1 / +68.4 です。

  • 中央値 −2.6%(100万円が973,968円)… まん中2社(−10.5%と+5.3%)の平均
  • 等分した平均 +10.9%(100万円が1,109,070円)… 6社に均等に投資した場合

13.5ポイントもずれるのは、TOAの+68.4%という突出した1社が平均を押し上げているからです。 6社しかないので、1社の当たりで全体の印象が変わります。中央値はこの影響を受けません。 中央値は「1社だけ買ったときのありがちな結果」、等分した平均は「分散して買った人の結果」です。 高配当株は分散して持つのが普通なので、自分の成績に近いのは後者だと考えてください。

上は+68.4%、下は−16.7%。同じ「利回り5%以上」という条件で選んでも、85.1ポイントの開きがあります。 中央値の−2.6%は、この6社を並べたときのまん中というだけです。

言い換えると、利回り5%以上という条件は、成績を予測する材料としてほとんど機能していません。 当たれば+68%、外れれば−17%。条件で絞ったあとに1社ずつ中身を見る作業が要ります。 その手順は高配当株の探し方は3ステップにまとめています。

成績が良かった5社

銘柄値上がり3年の配当合計
三菱UFJ(8306)+189.6%+15.1%+204.7%
MS&ADインシュアランスグループ(8725)+174.5%+21.3%+195.8%
沖縄セルラー電話(9436)+173.2%+11.7%+184.9%
JT(2914)+107.2%+20.6%+127.8%
三菱商事(8058)+100.6%+11.2%+111.8%

5社とも、成績の大部分は値上がりで作られています。配当の貢献は11〜21%です。 高配当株で大きく増やした人は、配当ではなく株価で増やしています。

5. この3年の数字を、そのまま未来に当てはめない

ここまでの数字には前提があります。隠さずに書きます。

  1. 上位5社は金融・商社・通信に偏っています。この3年は、金利の上昇と商社株の見直しでこれらの業種が大きく買われた期間でした。次の3年で同じ並びになる保証はありません
  2. 配当は税引前で計算しています。課税口座なら20.315%が引かれるので、実際の手取りはこれより少なくなります
  3. 配当の再投資は考えていません。受け取った配当をそのまま置いた前提です。再投資すれば結果は変わります
  4. 3年という期間で切っただけの数字です。開始日を1年ずらせば順位は入れ替わります

そのうえで、期間をどこで切っても変わりにくい事実が1つあります。 3年で受け取れる配当は元本の1割強で、それを超える値下がりは配当では埋まらないという関係です。 これは利回りが何%でも、どの業種でも同じように効きます。

高配当株とインデックス投資の比較は高配当株 vs インデックス投資に、 買うタイミングの考え方は高配当株の「買い時」はいつ?に書いています。

そもそもなぜ利回りが高く見えるのか——増配で高いのか、株価が下がって高くなったのか。 その見分け方は配当利回りが高いのはなぜか|60銘柄を3年追うと、高利回りには2つの型があったで、 同じ60銘柄を使って解説しています。本記事と合わせて読むと、利回りの数字の意味がつかめます。

6. まとめ

📌 60銘柄・3年・配当込みの実測
  • 100万円が、利回り5%以上なら973,968円・3%未満なら1,749,314円(差775,346円)
  • 配当でつく差は2.6pt、株価でつく差は78.7pt。30倍の開き
  • 3年の配当合計はどの帯でも元本の11.6〜14.2%。利回りの高さでは増えない
  • 株価が下がった11社のうち、配当が埋めたのは6社。5社は埋めきれなかった
  • 利回り5%以上の6社は+68.4%〜−16.7%。条件だけでは成績を予測できない
  • 60銘柄全体のトータルリターンは中央値+38.1%、マイナスは5社

高配当株を選ぶとき、配当は「守り」として数えてください。3年で1割強のクッションです。 攻めの部分は株価が担当します。だから利回りの数字を見たあとに、その会社が伸びるかどうかを見る順番になります。

何を見ればいいかは高配当株を買う前に見る5つの数字に、 配当が続くかどうかの見方は連続増配ランキングの正しい使い方にまとめました。

※本記事の集計は2026年9月11日時点のYahoo!ファイナンスの株価・配当履歴に基づきます。対象は当ブログで個別記事を掲載した60銘柄。 値上がり率は2023年9月11日以降の最初の終値と2026年9月11日の終値の比較、配当合計は同期間に権利確定した配当の合計を 開始時の株価で割った値です。トータルリターンは(終値+配当合計)÷開始時の終値で計算しています。 配当は税引前・再投資なしで、株式分割は調整済みの数値を使用しました。 「中央値」は対象の会社を数値順に並べたときのまん中の値です。

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特定の銘柄の購入を勧めるものではありません。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。 当ブログは投資助言業者ではありません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。 投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。配当は将来にわたって保証されるものではなく、減配・無配となる可能性があります。