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配当利回りが高い理由は、2つしかありません。配当を増やしたか、株価が下がったかです。
配当利回りは「年間配当 ÷ 株価」で計算します。分子の配当が増えても高くなり、分母の株価が下がっても高くなります。 この2つは、投資家にとって意味が正反対です。
では実際の高配当株は、どちらで高くなっているのでしょうか。当ブログで個別記事を書いた60銘柄について、 3年分(2023年9月〜2026年9月)の株価と配当を集計しました。結果は、はっきり分かれました。
- 利回り5%以上の6社は、3年で株価が中央値16.3%下がっていた
- 利回り3%未満の8社は、株価も配当も全社が上がっていた
- 利回り上位10社の内訳は「増配で高い4社」と「株価下落で高い6社」
- 増配した47社のうち27社は、利回りがむしろ下がった
- 気になる銘柄がどちらの型か、自分で判定する手順
1. 高利回りには「増配型」と「株価下落型」の2つがある
同じ利回り5%でも、そこに至る道筋は2つあります。数字で見たほうが早いので、100株ぶんで並べます。
| 型 | 3年前 | 今 | 利回り |
|---|---|---|---|
| 増配型 | 株価1,000円・配当30円(3.0%) | 株価1,000円・配当50円 | 5.0% |
| 株価下落型 | 株価1,000円・配当30円(3.0%) | 株価600円・配当30円 | 5.0% |
画面に出る利回りはどちらも5.0%です。しかし増配型は受け取る配当が20円増えているのに対し、 株価下落型は配当は1円も増えていません。増えたのは含み損だけです。
株価が下がった理由が「市場全体が下げたから」なら、割安に買える機会になります。 理由が「業績が悪化したから」なら、次に減るのは配当です。利回りの数字だけでは、この区別がつきません。
2. 実測:利回りが高い帯ほど、株価が下がっている
60銘柄を、今の配当利回りで4つの帯に分けました。それぞれの帯について、3年間の株価と配当の変化を中央値で出したのが次の表です。
| 今の配当利回り | 社数 | 3年の株価 (中央値) | 3年の配当の増減 (中央値) | 減配した 会社 | 株価が下がった 会社 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5%以上 | 6社 | −16.3% | ±0% | 2社 | 4社 |
| 4〜5% | 23社 | +12.6% | +12.5% | 2社 | 5社 |
| 3〜4% | 23社 | +25.9% | +11.8% | 3社 | 2社 |
| 3%未満 | 8社 | +62.4% | +33.9% | 0社 | 0社 |
上から下へ、きれいに並んでいます。利回りが低い帯ほど、株価も配当も伸びているという関係です。
いちばん下の行に注目してください。利回り3%未満の8社は、減配ゼロ・株価下落ゼロでした。 8社とも株価が上がり、8社とも配当を維持または増やしています。利回りが低いのは会社が弱いからではなく、 株価が配当の伸びを追い越したからです。
反対にいちばん上の行、利回り5%以上の6社は、6社中4社で株価が下がり、配当の中央値は横ばいでした。 この帯の高利回りは、増配ではなく株価下落によってつくられています。
この表は「高配当株を買うな」という意味ではありません。60銘柄の実測から言えるのは、 利回りが高い銘柄ほど、高い理由を確かめる手間が増えるということです。 利回り3%台で株価も配当も伸びている会社のほうが、確認は少なくて済みます。
3. 利回り上位10社の内訳は、増配4社・株価下落6社
帯ごとの中央値だけでは実感が湧きません。利回りの高い順に10社を並べて、1社ずつどちらの型かを判定しました。
増配で高くなった4社
| 銘柄 | 3年の配当の増減 | 3年の株価 |
|---|---|---|
| TOA(6809) | +125.0% | +53.2% |
| ジャフコ グループ(8595) | +92.8% | +17.8% |
| 早稲田学習研究会(5869) | +17.4% | +8.5% |
| サンゲツ(8130) | +10.7% | +5.5% |
4社とも、配当の伸びが株価の伸びを上回っています。これが利回りの上がる仕組みです。 TOAは年間配当が40円から90円へ、ジャフコ グループは69円から133円へ増えました。 株価も上がっているので、持っていた人は配当も含み益も増えています。
株価が下がって高くなった6社
| 銘柄 | 3年の配当の増減 | 3年の株価 |
|---|---|---|
| ジャックス(8584) | −9.1% | −28.4% |
| ケル(6919) | −15.8% | −27.3% |
| ニホンフラッシュ(7820) | ±0% | −22.5% |
| 理想科学工業(6413) | ±0% | −12.9% |
| 世紀東急工業(1898) | −21.1% | −12.1% |
| グランディハウス(8999) | ±0% | −10.1% |
6社のうち配当を増やした会社は1社もありません。3社は横ばい、3社は減配しています。 それでも利回りが5%前後に見えるのは、株価がそれ以上に下がったからです。
ジャックスとケルは、配当を減らしたのに利回りが上がりました。減配率より株価の下落率が大きかったためです。 減配した会社が高利回りランキングの上位に並ぶ——これがランキングだけを見て買ったときに起きることです。
4. 増配した47社のうち27社は、利回りが下がった
ここで多くの人がつまずく点をひとつ。「増配している会社を選べば、利回りも高くなる」は成り立ちません。
60銘柄のうち3年で増配したのは47社でした。そのうち27社は利回りがむしろ下がっています。 理由は単純で、株価のほうが速く上がったからです。
| 増配したのに利回りが下がった27社 | 3年の変化(中央値) |
|---|---|
| 配当 | +14.3% |
| 株価 | +36.8% |
配当が14.3%増えても、株価が36.8%上がれば利回りは下がります。 この27社を持っていた人は、配当も含み益も増えたうえで、画面の利回りだけが下がった状態です。損はしていません。
つまり「増配銘柄を探す」と「高利回り銘柄を探す」は、別の作業です。 増配銘柄を買いたいなら、利回りランキングではなく配当の推移を見てください。連続増配の実績は 連続増配銘柄ランキングにまとめています。
5. どちらの型か、3つの質問で判定する
気になる銘柄が見つかったら、次の3つを順番に確認してください。証券会社の画面とIR資料だけで、10分あれば終わります。
質問1:3年前と今で、年間配当はいくら変わったか
会社のIRページにある配当の推移を見ます。増えていれば増配型、横ばいか減っていれば株価下落型です。 ここで株式分割に注意してください。分割があると1株あたりの配当額が見かけ上減ります。 「分割調整後」と書かれた数字で比べてください。
質問2:株価が下がった理由を、会社は何と説明しているか
株価下落型だった場合だけ必要な確認です。決算短信の冒頭にある業績の説明を読みます。 売上と利益が減っているなら、配当の原資も減っています。業績は横ばいなのに株価だけ下がっているなら、 割安に買える候補です。決算を読む順番は高配当株を買う前に見る5つの数字で解説しています。
質問3:配当性向が70%を超えていないか
配当性向は、利益のうち何%を配当に回しているかです。70%を超えていると、 利益が少し減っただけで配当を維持できなくなります。利回りが高いうえに配当性向も高い銘柄は、 減配の候補になりやすい組み合わせです。判定の基準は高配当株とは?入門ガイドにまとめました。
- 配当が増えている → 増配型。利回りの上昇はそのまま良い知らせ
- 配当は横ばい・株価だけ下落・業績も横ばい → 割安に買える候補
- 配当が減っている、または配当性向70%超 → 次の減配を疑う
6. まとめ
- 利回りが高い理由は「増配」か「株価下落」の2つだけ
- 利回り5%以上の6社は、株価が中央値で16.3%下落・配当は横ばい
- 利回り3%未満の8社は、減配ゼロ・株価下落ゼロ
- 上位10社の内訳は増配型4社・株価下落型6社。下落型で増配した会社はゼロ
- 増配した47社のうち27社は、株価が先に上がって利回りが下がった
- 判定は「配当の推移」「株価下落の理由」「配当性向70%」の3点
利回りの数字そのものに、良いも悪いもありません。同じ5%が、増配の結果なのか下落の結果なのかで、 意味は正反対になります。画面の数字を見たら、次に見るのは配当の推移です。順番を変えるだけで、 減配に当たる回数は減らせます。
銘柄を絞り込む手順は高配当株の探し方は3ステップに、 買ったあとの配当落ちの動きは配当落ちで下がった株価はいつ戻るのかにまとめています。
ではその60銘柄を3年持ったら、実際にいくらになったのか。配当を全部足した成績は 高配当株を3年持ったら、いくら増えたのか|60銘柄の成績を決めたのは配当ではありませんでしたで公開しています。
※本記事の集計は2026年9月11日時点のYahoo!ファイナンスの株価・配当履歴に基づきます。対象は当ブログで個別記事を掲載した60銘柄。 3年の変化は、2023年9月11日以降の最初の終値と2026年9月11日の終値、および2023年9月11日〜2024年9月10日と2025年9月12日〜2026年9月11日の 各1年に権利確定した配当の合計を比較したものです。株式分割は調整済みの数値を使用しています。 「中央値」は、対象の会社を数値順に並べたときのまん中の値です。
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当ブログで解説している銘柄のうち、配当利回り5%以上のものを毎週まとめてお届けします。株価は金曜終値、配当は実際に支払われた実績ベース。計算の前提もすべて明記しているので、ご自身で確かめられます。
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特定の銘柄の購入を勧めるものではありません。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。 当ブログは投資助言業者ではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。 配当は将来にわたって保証されるものではなく、減配・無配となる可能性があります。
