「高配当株は値動きが小さい」は本当か|
60銘柄の高値と安値を測ったら17倍の差がありました

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「高配当株は値動きが小さいから初心者向き」とよく言われます。本当かどうか、実際に測りました。

高配当株60銘柄について、3年間(2023年9月11日〜2026年9月11日)のいちばん高かった日いちばん安かった日の差を計算した結果、開きは中央値65%。 最大は222%、最小は12%で、同じ高配当株の中に17倍の差がありました。

まず結論:あなたが気にすべきはどれか

こういう人見るもの理由
含み損があると眠れない高値と安値の開き利回りではなく、この数字が振れ幅を決める
配当だけ受け取れればいい減配の有無値動きは配当と別。荒くても配当は出続ける
利回りが高ければ安全だと思っている考え直す利回り5%以上の帯は、4〜5%の帯より荒かった
数年以内に使うお金で買うそもそも向かない中央値65%の振れ幅は、使う時期を選べない
📌 ひとことで言うと

「高配当株だから穏やか」ではありません。穏やかな銘柄と荒い銘柄が、同じくくりの中に混ざっています。 夜眠れるかどうかを決めるのは利回りではなく、高値と安値の開きです。

1. いちばん荒い5社と、いちばん穏やかな5社

3年間の最安値と最高値です。開きは「(最高値−最安値)÷ 最安値」で計算しています。

会社3年の安値 → 高値開き今の配当利回り
三菱UFJ(8306)1,182円 → 3,799円222%2.35%
MS&AD(8725)1,760円 → 5,240円198%3.14%
沖縄セルラー電話(9436)1,545円 → 4,310円179%1.55%
三菱商事(8058)2,193円 → 5,882円168%2.20%
TOA(6809)801円 → 1,898円137%5.27%
メディキット(7749)2,450円 → 3,175円30%3.48%
ヨンドシーHD(8008)1,691円 → 2,191円30%4.08%
竹本容器(4248)746円 → 905円21%4.23%
蔵王産業(9986)2,325円 → 2,701円16%4.21%
CDS(2169)1,651円 → 1,856円12%4.28%

三菱UFJは、3年でいちばん安かった日といちばん高かった日で3.2倍の開きがありました。 同じ銘柄でも、いつ買ったかで景色がまったく変わります。一方のCDSは、3年を通じて1,651円から1,856円の間しか動いていません。

⚠️ 荒いことは「悪い」ではありません

上の荒い5社は、いずれも株価が大きく上がった結果として開きが大きくなっています。 三菱UFJは3年で株価が189.6%上がりました。荒さは損失の大きさではなく、持っている間の揺れの大きさです。 揺れに耐えられるかどうかが、その人に向いているかを決めます。

2. 最も穏やかなのは利回り4〜5%の帯だった

利回りが高いほど穏やかになるのか。帯ごとに開きの中央値を出しました。

今の配当利回り社数高値安値の開き(中央値)
5%以上6社73%
4〜5%23社56%(最も穏やか)
3〜4%23社63%
3%未満8社98%(最も荒い)

利回りと荒さの相関は-0.37でした。高配当ほどやや穏やか、という弱い傾向はあります。 ただし一直線ではありません。最も穏やかなのは4〜5%の帯で、5%以上になると逆に荒くなります。

理由は分母です。利回りは配当を株価で割った数字なので、株価が大きく動けば利回りも動きます。 3%未満の帯が最も荒いのは、株価が大きく上がった結果として利回りが下がったからです(3年で株価が中央値62.4%上昇)。 反対に5%以上の帯は、株価が下がって利回りが上がった会社を含みます。 この構造は配当利回りが高いのはなぜかで解説しています。

3. 値動きが荒くても、配当は止まりません

ここが高配当株の性質です。株価が半分になっても、会社が配当を続けるかぎり配当は同じ額が入ります。

実際、荒さ上位5社のうち減配した会社はゼロでした。反対に、最も穏やかな5社のうち 竹本容器は3年の増配率が2.8%にとどまっています。 穏やかな値動きと、配当の成長は別の話です。

つまり見るべき数字は2つに分かれます。

  • 含み損益の揺れが気になる人 → 高値と安値の開き
  • 受け取る配当を増やしたい人 → 増配率と減配の有無

4. 買う前に開きを測る(2分)

  1. 証券会社の銘柄ページで年初来高値と年初来安値を見る。長期チャートで3年表示にすればもっと正確です
  2. (高値 − 安値)÷ 安値 を計算する。1,651円と1,856円なら12%です
  3. 65%と比べる。今回の60銘柄の中央値が65%なので、これより小さければ穏やかな部類です

そのうえで、いくらまでなら耐えられるかを金額で考えてください。 開きが65%の銘柄なら、いちばん高い日に100万円だった評価額は、いちばん安い日には約61万円です(差は約39万円)。 この金額を見て動揺するなら、開きの小さい銘柄を選ぶか、1銘柄あたりの金額を下げるほうが続きます。 何銘柄に分けるかは高配当株は何銘柄から始める?にまとめています。

5. まとめ

📌 60銘柄・3年の実測
  • 高値安値の開きは中央値65%。最大222%・最小12%で17倍の差
  • 利回りと荒さの相関は-0.37。高配当ほどやや穏やかだが、一直線ではない
  • 最も穏やかなのは利回り4〜5%の帯(56%)。5%以上は73%で逆に荒い
  • 最も荒いのは利回り3%未満の帯(98%)=株価が大きく上がった結果
  • 荒さ上位5社に減配はゼロ。値動きの荒さと配当の安定は別

「高配当株は値動きが小さい」は、平均としては弱く正しく、個別では当てになりません。 利回りだけを見て穏やかさを期待すると、持ったあとで驚くことになります。 買う前に、その銘柄の高値と安値を見てください。2分で済みます。

※本記事の株価データは、高配当株60銘柄について2026年9月15日に取得した2023年9月11日〜2026年9月11日の日足終値です。 高値・安値はこの期間の終値ベースで、ザラ場の高値安値とは異なります。株式分割は分割後の株数に換算しています。 相関係数は60銘柄の配当利回りと高値安値の開きから算出しました。過去の値動きであり、将来の値動きを示すものではありません。

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