本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。
高配当株を持っていて、いちばん心臓に悪い知らせが減配です。 「減配は売りのサイン」とよく言われます。私も減配のお知らせが届いた日に売りました。
では、売らずに持ち続けた人はどうなったのか。 高配当株60銘柄の3年間(2023年9月11日〜2026年9月11日)で実際に減配した7社を全部追いました。 配当を受け取りながら3年持ち続けた場合の成績は、プラスで終えたのが4社、マイナスが3社です。 ただし7社の平均は+5.8%で、60銘柄全体の平均+38.1%を32.3ポイント下回ります。
まず結論:減配の知らせを受け取ったあなたへ
| あなたの状況 | 判定 | なぜ |
|---|---|---|
| 減配したという事実だけで売ろうとしている | いったん止まる | 7社中4社は3年後にプラスで終えた。減配幅と成績に関係はなかった |
| 本業の利益が続けて落ちている | 売却を検討してよい | マイナスで終えた3社は、株価が14〜28%下がり配当で埋まらなかった |
| 配当目当てで買い、配当がもう目的に足りない | 乗り換えてよい | 持つ理由が消えている。ただし乗り換え先は先に決める |
| 他に買いたい銘柄ができた | 理由を分けて考える | 減配は売る口実になりやすい。私の失敗がこれだった |
減配は「売れ」というサインではなく、「調べろ」というサインです。 平均で見れば減配組は明らかに劣後しますが、個別に見ると半数以上がプラスで終えています。 ここまでで判断がついた方は、読み終えていただいて構いません。この先は7社の実際の数字です。
1. 3年で減配したのは60社中7社(11.7%)
まず頻度です。追跡した60銘柄のうち、3年間で年間配当を減らしたのは7社でした。 割合は11.7%、およそ9社に1社です。10銘柄を3年持てば、1社は減配に当たる見当になります。
高配当株は利益が落ちれば配当も落ちます。減配は事故ではなく、持っていれば普通に起きることとして先に織り込んでおくほうが動揺しません。
2. 7社の3年間の成績を全部並べます
配当を受け取りながら3年持ち続けた場合の成績(株価の増減+受け取った配当)を出しました。
| 会社 | 3年の配当の増減 | 3年の株価の増減 | 3年の配当合計 | 合計成績 |
|---|---|---|---|---|
| モリ工業(5464) | -21.7% | +21.1% | 124.0円 | +37.5% |
| 未来工業(7931) | -3.3% | +9.7% | 445.0円 | +23.1% |
| 日本製鉄(5401) | -25.0% | -3.0% | 88.0円 | +9.4% |
| 世紀東急工業(1898) | -21.1% | -12.1% | 251.0円 | +2.9% |
| 三ツ星ベルト(5192) | -23.6% | -14.3% | 627.0円 | -1.6% |
| ケル(6919) | -15.8% | -27.3% | 255.0円 | -14.2% |
| ジャックス(8584) | -9.1% | -28.4% | 610.0円 | -16.7% |
※2023年9月11日の終値で買い、2026年9月11日の終値まで持ち、その間の配当をすべて受け取った場合。税金・手数料は含みません。配当と株価は分割後の株数に換算しています。
プラスで終えたのが4社、マイナスが3社。7社の平均は+5.8%です。 同じ期間の60銘柄全体の平均は+38.1%なので、32.3ポイントの差がついています。
3. 減配幅と、その後の成績は結びついていません
表をもう一度見てください。減配の大きさの順番と、成績の順番が一致していません。
- 減配幅が小さいほうから2番目のジャックス(-9.1%)。成績は7社で最下位の-16.7%
- 減配幅が大きいほうから3番目のモリ工業(-21.7%)。成績は7社で最良の+37.5%
- 減配率と3年成績の相関係数は-0.09。ほぼ無関係という数字です
つまり「どれだけ減らしたか」を見ても、その後は読めません。 モリ工業は配当を21.7%減らしましたが、株価が21.1%上がり、3年の成績は全体平均に近いところまで戻しました。
※モリ工業の減配幅は、比べる期間で数字が変わります。本記事の-21.7%は3年前と今の年間配当の比較です。 2025年3月の株式分割の前後だけで見ると-8.7%で、こちらは 株式分割で配当は「減ったように見える」だけですで扱っています。 どちらも同じ実績データですが、切り取る期間が違います。
7社を分けたのは減配幅ではなく株価が上がったか下がったかでした。 プラス4社のうち2社は株価が上昇(+21.1%・+9.7%)。マイナス3社は株価が14〜28%下がっています。 配当だけでは、その下落を埋めきれませんでした。この構造は 高配当株を3年持ったら、いくら増えたのかで60銘柄全体について検証しています。
4. 配当は、株価の下落をどこまで埋められるのか
マイナスで終えた3社を見ると、配当がどこまで守ってくれるかがわかります。
| 会社 | 株価の下落 | 配当で埋めた分 | 残った損 |
|---|---|---|---|
| 三ツ星ベルト(5192) | -14.3% | +12.7ポイント | -1.6% |
| ケル(6919) | -27.3% | +13.1ポイント | -14.2% |
| ジャックス(8584) | -28.4% | +11.7ポイント | -16.7% |
3社とも、3年間の配当は投資額の11.7〜13.1%にとどまりました。 高配当株といっても、利回り4%なら3年で12%です。株価が15%下がると、そこで追いつかなくなります。
三ツ星ベルトは下落14.3%に対し配当12.7ポイントで、ほぼ埋めてマイナス1.6%まで戻しました。 一方ケルとジャックスは下落が27%を超え、配当では届きませんでした。 配当がカバーできる下落は、3年でせいぜい12%前後だと考えておくと判断を誤りません。
5. 「減配で売る」と「乗り換えたいから売る」を分ける
ここからは数字ではなく、私自身の失敗の話です。
利回り4%超だけを見て買った銘柄が、4か月後に減配しました。私は即日売って別の銘柄に乗り換えました。 4年後、売った銘柄は株価も配当も2倍近くになり、乗り換え先は横ばいでした。
問題は売ったことではありません。順番です。 私は売ると決めた後に、売る理由を補強する材料として乗り換え先を探していました。 減配は、そのとき都合のいい口実になりました。くわしくは減配のお知らせが届いた日にやったことに書いています。
①減配の理由(一時的な損失か、本業の構造的な不振か)。 ②利益の推移(続けて落ちているか、1年だけか)。 ③自分が買った理由がまだ生きているか。 この3つを確認する前に売買しないと、あとから理由を作ることになります。 売り時の判断軸は高配当株の売り時|4つのサインにまとめています。
6. では、どう構えておくか
今回の実測からとれる構えは3つです。
- 減配は9社に1社で起きると先に織り込む。10銘柄持てば3年で1社は当たります。驚いて反射的に売らないための準備です。
- 減配した日ではなく、決算を2回見てから決める。減配幅と成績は無関係(相関-0.09)でした。判断材料は減配の幅ではなく、利益が戻るかどうかです。
- 1銘柄あたりの比率を下げておく。7社中3社はマイナスで終わりました。最大で-16.7%です。銘柄数を増やしておけば、1社の減配で資産全体は揺れません。何銘柄から始めるかは高配当株は何銘柄から始める?で解説しています。
7. まとめ
- 60銘柄の3年間で減配したのは7社(11.7%=9社に1社)
- 持ち続けた場合、プラス4社・マイナス3社。7社平均は+5.8%
- ただし60銘柄全体の平均+38.1%を32.3ポイント下回る。減配組が劣後するのは事実
- 減配幅と成績は無関係(相関-0.09)。減配幅が小さいほうから2番目の会社が最下位、大きいほうから3番目の会社が最良
- 成績を分けたのは株価。配当が埋められる下落は3年で12%前後が限界
- 売るなら減配という事実ではなく、利益が戻るかどうかで決める
減配の知らせが届いた日は、何かをしたくなります。 しかし今回の7社を見るかぎり、その日に決められることは何もありません。 決算をもう1回見てからでも、判断は遅くならないというのが実測の答えです。
※本記事の株価・配当データは、高配当株60銘柄について2026年9月15日に取得した2023年9月11日〜2026年9月11日の実績値です。 成績は「期末株価−期初株価+期間中の受取配当」を期初株価で割ったもので、税金・売買手数料は含みません。 配当は権利確定日ベース、金額は分割後の株数に換算しています。相関係数は7社の減配率と成績から算出しました。 過去の実績であり、将来の成果を示すものではありません。
毎週土曜の朝、
利回り5%以上の銘柄リストが届きます
当ブログで解説している銘柄のうち、配当利回り5%以上のものを毎週まとめてお届けします。株価は金曜終値、配当は実際に支払われた実績ベース。計算の前提もすべて明記しているので、ご自身で確かめられます。
LINEで受け取る(無料)メールアドレスの入力は不要です。
いつでもブロックできます。
特定の銘柄の購入を勧めるものではありません。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。 当ブログは投資助言業者ではありません。株価および配当は変動し、過去の実績は将来の成果を保証しません。 投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。
